北斗星(2月28日付)

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 年を重ねるにつれ、脚立や踏み台に上がって行う作業は危険度を増す。体力や筋力の衰えからバランスを崩しやすく、転んでけがを負いかねない

▼エアコンの清掃もその一つ。空気を効率よく循環させる目的から天井近くに設置されることが多い。1人で作業するのは大変だ。秋田市社会福祉協議会・仁井田地区の会員たちはこの点に着目し、高齢者世帯を対象にした清掃代行事業を昨年夏に初めて行った

▼ほこりを掃除機で吸い取る役、カビ取りを行う役、脚立を押さえる役など数人で業務分担。無料ではかえって頼みづらいだろうと1回千円と料金設定し、寄せられた60件近くの注文に対応した

▼発案したのは元看護師の伊藤良治さん(73)。老人保健施設に勤務していた5年ほど前、喉の痛みなど風邪の症状を訴える入所者が妙に多いことに気付いた。エアコン内部に問題があるのではと思い、ほこりやカビを丁寧に取り除いたところ徐々に収まったという。その成功体験が基になっている

▼事業には高齢世帯への見守りを強化するとの狙いもある。訪問先でさまざまな悩みを聞き、生活相談に乗る。「話し相手になることが少しでも安心感につながれば」と伊藤さんは語る

▼会員たちは今年も事業を行う。暑い夏に備え、昨年より早い5月ごろの始動を見込む。新型肺炎拡大の影響で衛生面への関心が高まり、注文が増える可能性もあると一同、気を引き締める。1人暮らしの高齢者が増える中、心強い取り組みだ。