社説:「関係人口」の創出 全県に取り組み広げよ

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 県は2020年度、大都市圏に住みながら地方に関わり、地域の応援団となる「関係人口」の創出に向けた取り組みを強化する。県内25市町村やNPO団体などとプロジェクト会議を立ち上げ、「オール秋田」で関係人口を受け入れるための体制づくりなどを協議する。関係人口については他県でも取り組みが展開される中、本県独自の施策を工夫し着実に成果を上げてほしい。

 関係人口は、その地に住んでいなくてもさまざまな形で地域の活性化や課題解決に関わる人たちを指す。人口が減少し、祭りや伝統行事の担い手不足に直面している地域などで、人手確保や新たな発想の地域おこしにつながると期待されている。

 県は今後の地域課題解決のために関係人口の活用が急務と判断。策定中の「第2期あきた未来総合戦略」(20~24年度)では柱の一つに位置付けている。

 総務省のモデル事業を活用して19年度には五城目、にかほ、羽後の3市町と連携し、関西圏の在住者を招いて地域のイベントに参画してもらう企画を実施した。3市町にはそれぞれ7~9人が訪れ、集落を彩るイルミネーションの飾り付けを住民と一緒に行ったり、子ども向けの職業体験イベントで独自のブースを企画運営したりした。

 取り組んだ自治体からは「新しい発想を得られた」「住民への刺激になった」などの声が聞かれる。参加者とのつながりを一過性のものとして終わらせてはならない。長く継続してこそ、関係人口と言えるだろう。

 県によると、関係人口創出の取り組みは県内では3市町の他には、鹿角市や横手市などに限られているのが現状だ。取り組みを全県に広げていくことが必要である。

 プロジェクト会議の設置はその一環だ。会議は県内外の先行事例を学びながら、情報を共有することが第一歩となる。先行事例の成果だけでなく課題も検証しながら、関係人口を地域づくりにどう生かすべきかを検討し、実践につなげてほしい。各自治体が地域の人材ニーズを十分に探ることも欠かせない。

 関係人口を呼び込むための体制づくりが課題だ。現在は自治体がそれぞれ独自に関係人口を受け入れており、全県的な窓口や連携体制はない。プロジェクト会議は、人材を求める地域と県外在住者をマッチングできる体制などを検討する。

 県は、県外在住者らを対象とする「関係案内所」(仮称)の設置を提案する構えだ。各市町村がどんな人材を必要としているかを一覧できるインターネットのサイト開設などを想定している。全県の情報をまとめて分かりやすく伝えることは、県外在住者と地域をつなぐ上で大きな役割を果たすと期待される。

 県外会場でのセミナー開催なども積極的に行い、市町村のPRを進めたい。関係人口を掘り起こす攻めの姿勢が不可欠だ。

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