社説:どうなる五輪 細心の注意払い準備を

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 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)拡大に伴い、東京五輪・パラリンピックの開催を危ぶむ声が大きくなってきた。開幕まで5カ月を切ったが、感染は広がる一方。予断を許さない状況だ。

 国際オリンピック委員会(IOC)の古参委員が「開催是非の判断は5月下旬」「1年延期も」などと発言し、波紋が広がっている。橋本聖子五輪相は「IOCの公式見解ではない」、東京都の小池百合子知事は「個人的な見解だ」などとけん制している。IOCのバッハ会長は開幕に向けて全力で準備する意向を表明したものの、大会中止を完全には否定しなかった。関係者が疑心暗鬼になるのも無理はない。

 東京五輪の開会式は7月24日。だが、開幕までに感染が収まっていればいいというものではない。選手団の先遣隊は、2カ月ほど前には日本にやって来る。開催の是非を判断する時期について「5月下旬」としているのは現実味がある。そのことをしっかり受け止め、細心の注意を払って開催準備を進めてほしい。

 すでに五輪への影響は出始めている。南アフリカがサッカー五輪世代の代表(23歳以下)の日本遠征を取りやめたのは一例だ。日本での合宿を中止したチームもある。感染が早期に終息しなければ、出場を辞退する選手や、選手団派遣を見送る国・地域が出てくるかもしれない。

 政府は予定通り実施する方針を強調している。だが五輪の全ての決定権を持っているのはIOCだ。「五輪ブランド」に傷がつくことをIOCは嫌う。暑さ対策として、マラソンと競歩の開催地を札幌に変更したことに、その姿勢が顕著に表れている。

 東京都、日本オリンピック委員会(JOC)とIOCが結んだ開催都市契約には「参加者の安全が深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合は、IOCが中止する権利を有する」と記されている。しかも開催都市や大会組織委員会は損害賠償などの権利を全て放棄することも定められている。IOCが一方的に中止を判断する可能性も否定できないのが現実である。

 そうした中、26日には国内の聖火リレーが福島県でスタートする。組織委はリレーの中止はないとする一方、出発式や到着式など一部行事の規模縮小を検討する考えを示している。盛り上がりを欠くことにはなるが、感染拡大防止のために、ある程度はやむを得ないだろう。感染状況を注視しながら、臨機応変に判断する必要がある。

 世界最大のスポーツの祭典が行われないとなれば、国の威信にも関わる事態だ。何よりも五輪・パラに人生を懸けてきた選手たちへの影響は計り知れない。政府は大会が予定通り開催されるよう、感染の終息に全力を挙げてほしい。

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