社説:コロナ県内初確認 冷静な対応に努めたい

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 県内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認された。秋田市の60代男性と北海道の10歳未満の女児である。感染は拡大の一途をたどり、国内の感染者は千人を超えている。県をはじめ自治体は正しい情報の発信で県民の不安解消に努めるとともに、感染拡大防止に全力を挙げることが求められる。

 県によると、60代男性はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客で、船内で陽性と判定され、都内で入院。その後2回の検査で陰性となり、先月28日に退院した。だが6日に経過観察のため県内の医療機関を受診、その後の検査で、再び陽性となったことが判明した。

 退院した日は羽田空港近くのホテルに宿泊し、翌日航空機で秋田空港に戻り、タクシーで帰宅した。男性は1人暮らし。

 2回にわたって陰性と確認されたにもかかわらず、再び陽性となったのは全国で初めてのケース。政府は感染患者の退院基準を「2回の陰性確認」としているが、基準の変更を含めた対応を早急に検討すべきである。

 一方秋田市によると、同市を訪れていた女児は発熱のために市内の医療機関を受診、インフルエンザ検査を受けて陰性だった。だが、その後も発熱やせきなどの症状が続いたため、5日に医師の勧めで「あきた帰国者・接触者相談センター」に相談し、6日に陽性と判明した。

 県、秋田市ともに濃厚接触者や主な行動歴について把握している範囲で公表した。プライバシーに十分配慮した上で、今後もできる限りの情報を公開すべきである。それが間違った情報の流布や臆測を抑えることにつながる。

 県が60代男性の情報を把握したのは、6日になってからである。それまで国からの情報提供はなく、県による経過観察の対象にはなっていなかった。佐竹敬久知事が国から自治体への情報が不足していると苦言を呈したのは当然である。

 県内の感染者は今後も増える可能性がある。対応が後手後手になることがないように、しっかりと情報を把握し、備えておくことが重要である。

 県民一人一人には過度な不安に陥ることなく、冷静な対応に努めてもらいたい。厚生労働省の相談、受診の目安では、風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続き、強いだるさや息苦しいといった症状がある場合に相談センターに相談し、センターから勧められた場合には医療機関を受診してほしいとしている。

 医療機関に不安を抱える人が殺到する事態を防ぎ、必要な人が適切なタイミングで受診できるようにする狙いがある。

 不要不急の外出を避け、小まめな手洗いを心掛けるなど、個人でできることを普段から徹底することが求められる。社会全体で感染拡大を防ぐという意識と行動を共有して、早期の終息につなげたい。