社説:JAふるさと好調 販売額200億円は通過点

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 横手市全域と美郷町の一部をエリアとするJA秋田ふるさと(本所・同市)の2019年度の農畜産物販売額が200億円を上回り、過去最高となることが確実になった。組合員の生産努力と、同JAの営農指導、販路開拓の成果である。

 組合員の営農意欲が一層高まり、新規就農者の増加にもつながることが期待される。200億円突破は通過点である。さらに販売額の増加を目指し、取り組みを強化してほしい。

 同JAの昨年11月末時点の仮決算によると、19年度販売額は201億4千万円で、前年度の190億6千万円を大きく上回った。コメの作付面積が増え、作柄も良かったため、販売額は8億7千万円増の122億9千万円となり全体をけん引した。

 菌床シイタケやブドウ、スイカなど園芸作物の販売額も2億2千万円増の69億7千万円と健闘。総額が200億円を上回ったのは、冷害で全国的には生産量が落ち、米価が高騰する中、同JAの集荷量はあまり減らなかった03年度の200億2千万円以来となる。

 コメの作付面積が増えたのは、同JA独自の「ふるさとecoらいす」の販売好調が要因だ。7年前から減農薬栽培した大粒のコメという基準を設け、組合員に農薬や肥料の使用量などの指導を強化。高い安全性や食味の良さをPRし、販路開拓に努めた。生産量、販売量ともに年々増加し、あきたこまちをはじめ主要4品種に占める比率は9割を超えるまでになった。

 前年秋から卸、小売業者と協議を始め、田植え前には取引量や価格をおおむね決定したり、複数年にわたる契約を結んだりするケースも増えている。コメ全体の消費量が減る中、事前に売り先が決まり、ある程度価格が見通せることで、組合員が安心してコメ作りに取り組めるのは大きな強みである。

 ecoらいすの人気は高く、なお集荷量を上回る需要がある。今後も生産を拡大させるべきだ。同時に、新たな販路開拓も意欲的に進める必要がある。

 本県は販売額に占めるコメの比率が7割超のJAが少なくない。コメ依存からの脱却が課題とされる。その中でJAふるさと管内は複合農業が盛んで、コメの比率は約6割にとどまる。

 これは長年にわたる積み重ねの結果である。生産調整(減反)が始まった1970年以降、管内の旧市町村がそれぞれ園芸作物を特産化した。98年に広域合併した同JAはそれらの作物を、市町村の枠を超えて普及させた。コメ作りとのバランスを取りながら、特産園芸作物の生産拡大に取り組みたい。

 高齢化、農家数減少など農業を取り巻く環境は厳しさを増している。次代を担う人材の育成を加速し、農地の集積を図ることが不可欠だ。ドローンなど先端技術を活用したスマート農業に積極的に取り組み、地域農業をさらに発展させてほしい。

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