社説:東日本大震災9年 生活の再建加速させよ

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 岩手、宮城、福島の3県を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災からきょう11日で9年になる。災害公営住宅の建設などハード面の復興事業が進む一方、依然として約4万8千人が避難生活を送っている。

 「復興の司令塔」である復興庁は2020年度末までとされていた設置期限が10年延長されることになった。東京電力福島第1原発事故の影響が大きい福島県沿岸部以外では、5年間で復興事業の完了を目指す。今後は被災者の生活再建を加速させるため、「心のケア」なども含めソフト面できめ細やかな支援を行うことが求められる。

 東日本大震災の全国の死者は1万5899人、行方不明者は2529人。長期の避難生活のストレスによる体調悪化や過労などが原因の震災関連死も3739人に上る。

 3県では海岸の堤防や道路、鉄道、港湾などインフラ関係の復旧が進んでいる。プレハブ仮設住宅などからの転居先となる災害公営住宅は、計画された約3万戸のほとんどが完成し、5万人超が入居している。

 入居が始まった12年度以降、少なくとも242人が誰にもみとられずに孤独死したことが分かった。入居者の約3割が単身高齢者であることが背景にあり、孤立を防ぐ対策を急がなければならない。

 災害公営住宅の入居者100人を対象にしたアンケートでは、45人が転居前より近所付き合いが「減った」と答え、住み慣れた土地を離れて孤独を感じている人がいる実情が浮かぶ。孤独死を減らすには、住民同士の交流を盛んにし、お互いに見守り合える関係を築いていくことが不可欠だ。

 また、生活再建が順調ではないと感じている入居者が半数を超えた。「今の住まいや地域になじめない」「収入が戻らない」などの声が多い。近所付き合いの少なさや仕事を巡る不安を解消することが、新生活を軌道に乗せる鍵である。

 整備したインフラや住宅が被災者の生活の質向上につながるためには、ソフト施策の充実が必要だ。地域の産業再生などにも積極的に取り組んでほしい。

 被災地では人口減少が大きな問題である。3県の被災42市町村中、9割の38市町村で人口が震災前より計33万7千人も減少している。特に原発事故があった福島県は18万人を超える人口減であり、今も避難生活を続けている人の大部分は福島県の避難者である。

 福島には7市町村にまたがる帰還困難区域がある。そのうち、双葉町は全町民が避難生活を続け、浪江、大熊、富岡の各町は人口の9割が減った。仕事や教育上の理由から避難先に定着した人も多い。原発被災地では当面10年間、本格的な復興・再生に取り組む。帰還を望む住民の願いがかなえられるように、10年の期限にとらわれず、最後まで責任を持って取り組むべきだ。

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