社説:新型コロナの打撃 企業支援に全力挙げよ

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 新型コロナウイルスの感染拡大が本県経済に深刻な打撃を与えている。特に観光客の激減と、イベントや会合の自粛などによる消費の減退が顕著であり、関連する業界は危機に直面している。感染の終息が見通せない中で、国と県、市町村は苦境に立つ企業への支援に全力を注ぐべきである。

 県内で大きな影響を受けている業種の一つが観光である。宿泊に加え、バスや鉄道などの予約キャンセルが相次いでいる。中国、韓国からの入国制限などにより、インバウンド(訪日外国人客)が急減。クルーズ船の寄港や国内ツアー取りやめの動きも広がっている。

 飲食業界も厳しい環境にある。例年3~4月は歓送迎会などの繁忙期だが、キャンセルが続出している。会場となるホテルの中には3月の予約の8割超が取り消されたところもある。

 県内経済団体の窓口には、中国から原材料を調達できなくなり、自社工場の生産調整を検討せざるを得ないという声も寄せられている。観光、飲食、製造に建設、小売なども加え、影響は広範囲に及ぶ。苦しい経営が続けば、従業員のリストラや倒産にもつながりかねない。それだけは避けなければならない。

 政府は10日、緊急対策の第2弾(総額4308億円)を打ち出すとともに、スポーツや文化イベントの開催自粛をさらに10日程度延長するよう要請した。政府は感染拡大阻止を図りながら、企業支援にも同時進行で取り組む方針だ。

 具体策としては、売上高が急減した中小企業などが実質無利子、無担保で融資を受けられるようにする貸付制度の創設を打ち出した。一刻も早く制度を実行に移し、企業が利用できるようにしたい。

 県も既存の中小企業向けの融資制度の中に、金利などを優遇する新たな「新型コロナウイルス感染症対策枠」を設け、受け付けを始めた。企業からは既に申し込みがある。県はさらに企業負担を軽減する「危機関連枠」を設ける方向で調整している。迅速な対応が必要である。

 世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症について「パンデミック(世界的大流行)」と判断した。早期終息は困難との見方である。イベント自粛や入国制限などが長引けば経済的な影響が拡大することは必至だ。政府や自治体は企業の声に耳を傾けながら、雇用維持を含め効果的な支援策を講じていくことが重要である。

 一方、苦境にある企業をほかの企業が支援する動きも出ている。学校の臨時休校で給食が休止となり、余った食材を買い取って自社の飲食店で活用しようという取り組みだ。こうした支援の輪を広げたい。

 この危機を乗り越えるために行政と経済団体、金融機関は一層連携を強めることが求められる。これからが踏ん張りどころである。