社説:児童虐待通報最多 被害防止へ連携強めよ

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 県警が2019年、児童虐待の疑いがあるとして受けた通報は319件で、このうち警察官が現場確認して虐待と判断して児童相談所(児相)に通告した事案は253件に上った。通報、通告とも過去最多を更新した。全国で児童虐待事件が相次ぎ、社会的関心が高まったことが背景にあるとみられる。

 虐待は家庭内で潜在化する傾向がある。早期発見に努めることが、被害を最小限に食い止めることにつながる。警察、児相、行政、地域がこれまで以上に連携を強める必要がある。

 通報は近隣住民や家族、学校、自治体からが多く、父母間のドメスティックバイオレンス(DV)で発覚した例もある。虐待の内容は心理的虐待が約7割を占め、子どもの目の前で家族に暴力を振るう「面前DV」が目立った。面前DVは子どもの成長に大きな影響を与える。DVへの対応は急務である。

 県内の三つの児相への相談も増えた。県によると、19年4~12月の合計は372件で、過去最多だった前年度を上回るペースで推移している。全国で虐待死に至った事件は、周囲が虐待に気付いていたことが後に判明し、警察や児相が一度は関与した例が多い。悲惨な結果を招かないためには、県警と児相がより結束して対応することが大切である。

 親権者や里親による体罰を禁じた改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が4月に施行されるのに合わせて、国はこれまで人口4万人当たり1人としてきた児童福祉司の配備基準を22年度までに3万人に1人とするよう定めた。本県の標準は里親養育支援の要員も含めて39人となり、現在の29人から10人増やす必要がある。加えて児童福祉司2人につき児童心理司1人の配置が標準となる。人材の確保は喫緊の課題だ。

 県は16年度から全国でも先進的な取り組みとして、3児相に現職警察官を1人ずつ配置し、情報共有などで連携してきた。さらに20年度は、虐待してしまう親権者の心の問題を解決して再発防止を図ろうと、臨床心理士がカウンセリングに当たる独自の事業を始める。できる限りの手だてを打ち、虐待を減らしてほしい。

 虐待の情報が最初に寄せられることが多い市町村の役割も重要だ。各市町村には、教育、医療、福祉、警察、児相の担当者による「要保護児童対策地域協議会」がある。協議会には、所定の研修を終えた職員を「調整担当者」として最低1人置かなければならない。だが研修未完了の職員が担当する自治体もある。県は指導を徹底するとともに、自治体側も主体的に取り組むことが求められる。

 県は昨年11月、「県児童虐待防止宣言」を発表した。宣言にも盛り込まれているように、周囲が日頃から関心を持って子どもを見守っていくという意識を県民全体で共有したい。

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