社説:県北の林業振興策 将来見据え再造林図れ

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 林業を成長産業にしようと林野庁が取り組んでいるモデル事業で、大館北秋田地域(大館、北秋田、上小阿仁の2市1村)が、県内で唯一対象地域に選ばれてから間もなく3年になる。

 素材(丸太)の生産量や雇用者数は徐々に増加するなど、成果が上がっているプロジェクトがある一方、将来の林業を支えるために必要な再造林(伐採後の植林)は低水準にとどまる。小規模林家が所有する私有林と市村有林などの管理の集約を進め、作業の効率化やコスト低減を図り、将来を見据えた再造林を促進したい。

 この事業は「林業成長産業化地域創出モデル事業」で、期間は2017~21年度の5年。国内では戦後造林された人工林の多くが10齢級(46~50年生)以上となり、本格的な利用期を迎えている。事業の狙いは、育林・伐採から製材・加工、製品化まで地域の多様な事業者の連携を強め、豊富な資源の活用と持続的な林業振興につながる先進例をつくり出すことだ。

 対象となっているのは全国28地域。大館北秋田地域は自治体と森林組合、木材関連の各事業者、県立大木材高度加工研究所など計32団体による協議会を組織して取り組みを進めている。

 素材生産量はモデル指定前の16年の約23万立方メートルに対し、18年は26万立方メートルまで増加。間伐材を有効活用できるペレットボイラーを設置した施設整備なども地域内で進み、ボイラーの燃料用の木材チップ出荷量が増えている。

 木材関連業界の雇用者数は、16年の632人から18年の654人に増加した。目標の680人の達成に向け、人材確保に一層力を注いでほしい。

 国有林を除き、県や市町村の公有林と私有林などを合わせたものが民有林とされる。大館北秋田地域の民有林の再造林率は、18年度は約12%で、近年20%前後で推移する全県の水準を下回っている。10齢級の民有林面積が8千ヘクタール超なのに対し、3齢級(11~15年生)以下はいずれも400ヘクタール未満で、将来の資源量の減少が懸念される。

 再造林率が低いのは、所有面積が3ヘクタール未満の小規模林家は高齢化、後継者不足などもあって、再造林にコストを掛けることに消極的になりがちなことが要因の一つである。協議会はこれまで、伐採直後に再造林する一貫施業を普及する取り組みを進めてきた。再造林率を上げるためにはそれだけでは不十分だ。

 手入れをする人がいなくなった私有林を市町村が管理する「森林バンク」制度も活用し、小規模な私有林を含む民有林を集約し、大規模化を図ることが必要だ。手入れの行き届かない私有林が荒れてしまわないよう、しっかり現状把握に努め、対応することが求められる。

 林業は目前の需要に応じて伐採を進めるだけではいけない。50年、100年先への投資として再造林を行うことが重要だ。

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