社説:地上イージス請願 継続審査は理解し難い

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 2月県議会が終了した。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)に配備する計画を巡り、住民団体などが議会に反対の意思表示を求めた請願19件は総務企画委員会で全て継続審査となった。過半数を握る最大会派の自民党が継続審査を主張し、判断を先送りした。

 継続審査は一昨年12月議会から昨年2、6、9、12月と続き、今回で実に6度目だ。請願には演習場周辺の16町内会でつくる新屋勝平地区振興会が提出したものもある。演習場は住宅地や学校に近接しており、配備に不適であることは明らかだ。県議会がいつまでたっても反対の意思表示ができないのは理解に苦しむ。

 政府は昨年11月、配備には住宅地との距離を考慮する方針を示しており、新屋は除外されると捉えるのが当然だ。先月には自民党県連が菅義偉官房長官と河野太郎防衛相に面会し、「新屋配備には無理がある」と申し入れをした。長い時間がかかったとはいえ、配備反対の意思が示されたことに安堵(あんど)した住民は多かったはずだ。にもかかわらず、またも継続審査では、整合性を欠いた行動だと言われても仕方がない。

 自民党は継続審査の理由として、防衛省が秋田、青森、山形3県の国有地20カ所で進めている再調査の対象に能代、男鹿、由利本荘、にかほ4市の9カ所も含まれていることを挙げ、「私たちは全県のことを考えなければならない」などと強調。新屋だけの除外を求めるわけにはいかないとした。

 だが焦点となっているのは、新屋への配備である。県議会には不安を訴える住民の声に真摯(しんし)に耳を傾け、迅速に対応することが求められる。1年以上にわたって判断を先送りするようでは、住民の訴えを本当に深刻に受け止めているのかすら疑われる。

 仮に防衛省が再調査で新屋以外を候補地に挙げた場合であっても、住民の思いをしっかり受け止め、その都度慎重に見極めなければならない。

 新屋配備の是非を巡っては、県議会と同様に判断を保留していた秋田市議会が今月、配備反対の決議を求める請願・陳情をようやく採択した。佐竹敬久知事、穂積志秋田市長が配備は困難と河野防衛相に伝えたことに加え、4万筆を超える反対署名が集まったことなどを踏まえた。遅きに失した感はあるが、最終的に地元住民らの声を重視した結果と言えるだろう。

 県議会が次に請願を審査するのは6月議会となる。防衛省は4月末に再調査を終える見通しであり、6月までには県や秋田市に結果が示されている可能性もある。議会には判断先送りの理由として「再調査の結果を待つべきだ」との主張もあるが、新屋配備については調査結果を待たなくても判断できる。議会の主体性が問われている。

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