北斗星(3月26日付)

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 新型コロナウイルスの感染拡大で五輪延期が決まり、きょう26日に始まる予定だった聖火リレーは中止となった。準備を進めてきたランナーや関係者の落胆は、いかばかりか

▼特にショックが大きいのは、東日本大震災の被災地だろう。ギリシャから届いた聖火は岩手、宮城、福島3県で「復興の火」として巡回展示され、福島県のサッカー施設からの出発を待つばかりとなっていた

▼復興への新たな一歩を印象づけるはずが、五輪と共に計画変更を余儀なくされ、リレーも来年へ持ち越しに。リレーのコンセプト「希望の道を、つなごう。」は1年後に仕切り直しとなる

▼本県では6月9、10の両日に、聖火が通過する計画だった。県央部で走ることを予定していた男性は、5キロ程度の走り込みを重ねて本番に備えてきた。「コロナでこんな騒ぎになるとは。もう流れに身を委ねるしかない」と嘆く

▼レスリング女子で五輪3連覇の吉田沙保里さんは、自身を「幻のランナー」と称し、「どこかで走る機会があればいいな」と述べた。アテネでの聖火引き継ぎ式でランナーを務める予定だったが、実現しなかったからだ

▼来夏までのコロナ感染の終息はいまだ見通せる段階にはない。今回出番を失った一般ランナーも、似た心境になったことだろう。聖火リレーは五輪の機運を国全体で共有する行事。ランナーは元気や希望を届ける存在だ。一日も早くトーチの火をつなげられる状況になることを誰もが待ち望んでいる。