遠い風近い風[十田撓子]早すぎる 遅すぎる

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 早すぎる春の訪れに、ぽっかりと空いた時間を少なからず持ったら、何をするだろう。庭や菜園の準備にいち早く取りかかる。書店で未知の著者の本を手にする。それとも、誰かに手紙を書こうか。

 そう、私は昨日、手紙を書いた。白い封書は、切手を貼って投函(とうかん)されずにまだ机の上にある。それに、あなたに届かない手紙を、私はまだ何通も持っている。

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