北斗星(4月1日付)

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 作家の村上春樹さんは10代で熱心な読書家になったという。月刊誌への寄稿によると、父親の影響が大きかったようだ。教員だった父親は文学好きで、家の中にはいつも本があふれていたと回想している

▼本好きの人に朗報だ。新型コロナウイルスの影響で臨時休館になっていた秋田市の県立図書館があす2日、1カ月ぶりに再開する。だが感染リスクが収まったわけではない。本の貸し出しは行うが、2階閲覧室の座席は当面、使用を見送る

▼休館中も毎週200~300冊の新刊本が購入され、職員が整理に当たっていた。高橋貢館長は「本は人に読まれて初めて生きる。本を貸し出さないのは図書館の存在意義に関わる」と語る

▼2019年度、県立図書館は休館日を毎月第1水曜日から毎週水曜日に変更。休館日は傷んだ本の修復に力を入れ、市町村立図書館職員の研修会を開くなど、県民が本に親しみやすい環境づくりを進めた。開館日は減ったが、2月末までの入館者は約2400人増えた

▼特に週末は高校生の来館が目立っていた。高橋館長は07年度から続ける「セット貸し出し」の効果が出始めたとみる。高校と特別支援学校向けに司書がテーマごとに選んだ本をまとめ、宅配便で送る。これで図書館を身近に感じた生徒も多い

▼文学作品は豊かな想像力を育むだけではない。時にはつらさや苦しみから救ってくれることもある。自宅で過ごす時間が増えている今だからこそ、文学の世界に浸ってみたい。