北斗星(4月2日付)

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 秋田市の菅野芳久さん(47)は子どもの頃から大の読書好き。小学生の時に学校図書館で江戸川乱歩の少年探偵団シリーズを借りるようになったのがきっかけだ

▼それ以来、物語の世界に引き込まれ、本はなくてはならない存在になった。時代小説やミステリー、SFなど幅広い分野を読む。大学卒業後に選んだのは書店員の仕事。同市の加賀谷書店に就職し、現在は茨島店の副店長として仕入れや販売業務に励む

▼全国的に出版不況が続く中、粗筋や見どころを短い文章やイラストなどで紹介する「ポップ」と呼ばれる広告を手作りしたり、並べ方や積み方を工夫したり。いかに関心を引き、本を手に取ってもらうかに知恵を絞る

▼とりわけ今の時期、気になるのは「本屋大賞」の行方だ。全国の書店員がこれはと思う本を推薦し合って候補10作品を選び、その中から書店員の投票で大賞を決定する。2004年に始まり、17回目を数える今年は今月7日に大賞が発表されることになっている

▼菅野さんは6年前、選考に参加した。自身の推薦作は候補に残らなかったものの、大賞を選ぶ際に投票した小説は2位になった。今年はどんな作品が選ばれるのか。思いを巡らせながら、その日を心待ちにしている

▼「本は心を豊かにしてくれる。そのことを、もっと多くの人に感じてもらいたい」と菅野さんは語る。熱意ある書店員たちの努力と創意工夫が読書好きを増やし、本離れに歯止めをかけることにつながればと思う。