社説:受動喫煙防止条例 健康増進へ機運高めよ

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 県受動喫煙防止条例が全面施行された。小中高校と幼稚園、保育所が屋外にも喫煙場所を設置できない完全敷地内禁煙となったほか、駅や空港は屋内に喫煙専用室を設置できなくなるなど、県内各施設で規制が強化された。

 本県の喫煙率は全国平均よりも高い。条例は、同じく全面施行された国の改正健康増進法よりも厳しい規制内容となっている。健康寿命日本一を掲げて「健康秋田いきいきアクションプラン」(2018~22年度)を策定した本県が、厳格な条例としたのは当然だ。

 プランは目標の一つに「受動喫煙ゼロ」を掲げる。条例によって飲食店や事業所、ホテルのロビーなど不特定多数の人が利用する施設も禁煙となり、屋内での喫煙には専用室の設置が必要となる。飲食店のカウンターや座席で、料理や酒を口にする合間に紫煙をくゆらせることはできなくなった。

 ただし、従業員のいる既存の小規模飲食店(資本金5千万円以下で客席面積100平方メートル以下)に関しては、今月からの屋内禁煙を義務付けてはいない。事業継続に影響を与えるなどの理由から、5年以内の実施に向けて努力することを求めている。

 この点、同じく全面施行された東京都の受動喫煙防止条例はこういった経過措置を設けておらず、本県よりも厳しい内容だ。県内の医療関係者からは、健康寿命日本一を掲げる本県での5年は「甘過ぎる」との声も上がっている。

 飲食店にしてみれば、喫煙者の常連客を失うという懸念もあるだろう。だが現実には、喫煙者数は全国で年々減少している。新たな顧客開拓になると前向きに考え、徹底した受動喫煙対策に取り組むべき時だ。

 受動喫煙を本気で減らすためには、努力義務を猶予とするのではなく、なるべく早い時期に禁煙とするよう飲食店に働き掛けていくことが求められる。県は店内禁煙化に伴う費用を最大で10万円助成する事業を行っており、この活用を促すべきだ。

 喫煙者にとっては、相次ぐたばこの値上げに加え、喫煙場所がどんどん狭められていく逆風である。しかし、たばこの煙にはニコチンなどの有害物質が含まれ、肺がんや心筋梗塞、脳卒中、乳幼児突然死症候群などのリスクを高める。自分の家族はもちろん、それ以外の人の寿命にも影響する喫煙を規制することが急務である。

 厚生労働省の研究班は16年、受動喫煙が原因とみられる国内の推計死亡者数は年間1万5千人に上ると公表した。喫煙者の行動が、非喫煙者の健康を損なうことがあってはならない。

 受動喫煙による被害は、喫煙者本人の意志とルールの徹底で防ぐことができる。多くの人の健康に関わることであり、受動喫煙の防止へ、いま一度機運を高めたい。

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