社説:大曲鷹巣道路改良 早期の事業化を目指せ

お気に入りに登録

 大仙市大曲と北秋田市鷹巣を結ぶ地域高規格道路「大曲鷹巣道路」(国道105号)のうち、急カーブ、急勾配が続き、難所とされる大覚野(だいかくの)峠区間14・3キロの改良に向け、国が動きだした。2020年度予算に直轄工事に関する調査費1500万円を盛り込んだ。今後、ルートを具体化するなどして事業化の可能性を検討する方針だ。

 大曲鷹巣道路は本県内陸部の南北を結ぶ全長約120キロの主要道路。県や沿線自治体は安全で安定的に通行できるようにするため、国に直轄整備に向けた調査を求めていた。沿線や周辺には本県を代表する観光地が多く、観光振興にも大きく寄与することが期待される。一日も早い整備実現に向けて、県、自治体は国への要望活動を一層強化すべきだ。

 大覚野峠区間は仙北、北秋田両市の境界付近の急峻(きゅうしゅん)な山あいにある。幅員が狭く、大型車同士が擦れ違うことができない場所もある。

 県によると、この区間は通行する車両の速度低下が目立ち、地域高規格道路が達成すべき時速60キロとは大きな開きがあるという。改良は不可欠だ。

 地滑りや雪崩といった災害も頻発している。07~19年度には全面通行止めが12回あった。付近に迂回(うかい)路はない。通行止めの際は秋田市を経由するなど大幅な遠回りが強いられる。緊急時の対応が間に合わない恐れがある。

 天候や季節を問わず安定的に通行できる道路整備は、地域の長年の課題である。沿線住民だけでなく、物流ルートとして活用する企業にとっても利便性の向上につながるはずだ。

 観光面でのメリットにも注目したい。大曲鷹巣道路沿線には南側の角館、田沢湖、北側の森吉山、打当温泉など観光資源が豊富だ。大覚野峠区間の改良が実現すれば大館能代空港と角館、田沢湖などとのアクセスが向上し、新たな周遊ルート開拓の可能性が開ける。人口減が進む地域では交流人口の拡大へ大きな弾みになるだろう。

 県は大覚野峠区間の改良に向け、16年から新たなルート案を検討。現在の道路の近くを通り、5本のトンネルを整備する案をまとめた。

 しかし一帯は地質構造が複雑で、トンネル掘削時の出水原因となる帯水層も存在する。設計、施工には高度な技術が必要なため、国直轄工事を前提に調査を要望していた。

 国土交通省は20年度、現地の地質調査などを踏まえ、県が示したルート案を検証する。早ければ年度内にも事業化の可否を判断する方針だ。地元の要望を重く受け止め、早期に前向きな判断を示してもらいたい。

 今回の国の予算化は、地元の要望を踏まえた事業化への大きな前進である。県と自治体は地元経済団体とも連携し、事業の必要性を根気よく丁寧に国に説明していくことが求められる。

秋田の最新ニュース