社説:障害者雇用 「共生社会」へ促進図れ

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 厚生労働省が15都府県の計16機関に対し、障害者雇用を適正に実施するよう勧告した。障害者の法定雇用率達成に向けた採用状況に改善が見られない、というのがその理由だ。雇用率向上のため、各機関は取り組みを急ぐ必要がある。

 勧告は、民間企業や行政機関に一定割合で障害者を雇用するように義務付ける障害者雇用促進法に基づく。背景にあるのは「共生社会」実現の理念だ。促進法は昨年6月改正。国や自治体が率先して障害者を雇用し、事業主や国民の理解を高めるよう明確に定めている。

 16機関のうち本県では、県教育委員会が勧告対象となった。昨年6月1日現在の障害者雇用率が2・09%にとどまり、法定雇用率の2・4%を下回っていた。

 県教委は応募者数が想定より少なかったとしているが、本年度採用分からは、正職員の他に会計年度任用職員(任期1年以内)を多数募集し、法定雇用率の達成を図るという。

 改正法はこの4月から、国の機関や自治体に対して「障害者活躍推進計画」の策定を新たに義務付けた。職場への障害者定着や活躍の促進に向けた環境整備、人事管理などが主な内容だ。実施状況については毎年少なくとも1回は公表するよう定める。推進計画は身体、知的、精神の障害者の雇用促進に向け、より実効性のある内容にしなければならない。

 民間企業について見ると、全国の障害者雇用者数は約56万人で過去最多を更新した。平均雇用率も2・11%で過去最高となった。民間企業の意識の高まりがうかがわれる。

 本県の雇用率は前年比0・07ポイント増の2・14%。全国平均を上回っているが、民間法定雇用率の2・2%には達していない。県内企業にも、法の趣旨を理解した上で、さらなる雇用推進を求めたい。

 全国の障害別雇用比率は、民間企業平均で身体障害者が6割以上を占め、自治体では8割以上となっている。知的障害者と精神障害者はまだまだ少ないのが実情だ。

 本県では、秋田市の県立栗田支援学校が県内特別支援学校で初の職業科「環境・福祉科」を設けて丸10年を迎えた。教員らが開拓した実習受け入れ企業での職場体験を通じ、科のほぼ全員の就職を果たしている。

 就職後は、教員が職場を訪れて様子を聞き取るなどして支援を続けている。ただし離職という問題もあることから、各職場による雇用定着に向けた取り組みが一層望まれる。

 障害者が長く働き、社会参加できるようにするために必要なのは、職場の理解と環境づくりだ。同僚が寄り添って悩みを聞くことで、障害者が職場で能力を十分に発揮できるよう後押ししてほしい。そうした地道な努力が「共生社会」の実現につながるはずだ。

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