北斗星(4月19日付)

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 長い髪にくちばし、ひし形をした目―。そんな愛らしい顔の半人半魚の妖怪「アマビエ」がブームだ。秋田市の菓子店はその姿をかたどった「上生菓子」を売り出して話題を呼んでいる

▼アマビエは江戸時代に肥後国(現在の熊本県)の海に出現。「病がはやったら私の写し絵を人々に見せよ」と告げたという。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当時の瓦版に載った絵をデザインした工芸品や食品が全国各地で商品化されている

▼厚生労働省はアマビエを描いた啓発用ロゴマークをホームページで公開。若者への感染防止呼び掛けに一役買っている

▼本県には国内最古級と言われる人魚絵図がある。井川町の洲崎(すざき)遺跡から1998年出土した鎌倉時代の供養札だ。こちらの人魚はきりっとした目鼻立ちが特徴。うろこで覆われた体に腕や足、背びれ、尾びれがある

▼人魚出現が凶兆とされていたことがうかがえる短文も添えられている。遺跡発掘に携わった県埋蔵文化財センター元所長の高橋学さん(62)は「2度にわたる元寇(げんこう)があり、日本海への警戒が高まっていた」と時代背景を語る。展示していた県立博物館は残念ながら感染防止のため休館となってしまった

▼能代市では目抜き通り沿いの空き店舗ガラス戸に「疫病退散」の言葉と共に鍾馗(しょうき)様が描かれた。人々の切実な祈りが伝わる。こうしたコロナを封じ込めたいと願う行為が日々の不安、不便でぎすぎすしがちな気持ちを少しでも癒やしてくれたらと思う。

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