ローカルメディア列島リレー(7)田中佑典

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 全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。

微住という新たな地域づくり

 「微住」という言葉を作って数年が経った今年、いよいよ本格的に全国に広めていきたいと思っている。この言葉は私の地元の福井県を舞台に出版したガイドブック『青花魚(サバ)』のコンセプトとして生まれたものだ。観光資源よりも生活資源が豊かな地域を、都市と同じ“観光”というフィルターに通した途端、さまざまな要素がそぎ落とされ、どこの地域も「人、ご飯、自然」というようなお決まりのフレーズでしか良さを語れないことに疑問を感じ、新しい切り口としてこの言葉を作った。

 「微住」はもともと中国語としてあみ出した「微妙(ちょっと)に住む」という意味。「観光以上、移住未満」というニュアンスで、漢字圏であれば共通して理解してもらえる。

 「微住」とは、「ゲストもホストもない、地域の共同体として暮らす体験/旅」である。キーワードは“ゆるさと”づくり。受け入れる地域側も不特定多数で一過性の観光客ではなく、自分たちの地域を「ゆるいふるさと」すなわち
“ゆるさと”として特別な思いを持ってくれる微住者を受け入れようと言う話だ。これは国外に向けたポスト・インバウンドであり、国内の移住定住のトライアルとしても機能する。

 主導的な地域力が求められるなかで、これからは熱量を持った共同体の円を描くテリトリーデザインが必要となる。微住者が住民と同じ目線で深く携わるには、従来の表面的なコト体験では成り立たない。モノからコト、そしてこれからはタメの時代。地域のむしろこれまで外部に見せてこなかったスキ(隙間)に対して、微住者が携わり、地域で役割を持つ。そこには微住ならではの感動と関係が生まれる。

田中佑典:生活芸人/福井・台湾
日本と台湾をつなぐ企画やプロデュース、執筆、クリエイティブサポートを行う“台日系カルチャー”のキーパーソン。語学教室「カルチャーゴガク」主宰。現在自身のアジア微住の様子を『ソトコト』にて連載中。微住受け入れサイト『微住 .com』を準備中。

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