遠い風近い風[伊藤伸平]「待つ」ということ

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 インドネシアのバリ島に足繁(しげ)く通っていた時期があった。美しい海、緑優しい田園や森の風景…。世界有数のリゾート地としてはもちろん、イスラム国家インドネシアにおいて、バリ・ヒンドゥーと呼ばれる独特の宗教をもつ島としても知られている。ジャワ島とは違ったリズムの速いガムラン演奏、レゴンダンスやバロンダンス、ケチャなど宗教色が強く、しかも芸術性に優れた踊り、見事な石彫細工や精緻な筆遣いで描かれる絵画など、この島に根付く芸能・芸術文化に魅せられると、憑(つ)かれたように何度も訪れたくなる。

 そんなバリ島が1年に一度だけ静まりかえる日がある。バリ島の人々は、私たちも一般に利用する太陽暦のほか、サカ暦、ウク暦という宗教に根ざしたふたつの暦も使っている。

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