ローカルメディア列島リレー(8)武田俊

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 全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。

地域で活動する個人の「戦術」を巡る旅

 千葉県松戸市に、株式会社まちづクリエイティブという一風変わった企業がある。松戸駅前を中心に半径500mのエリアを「MAD City(マッドシティ)」と名付け、空き家を活用してクリエイターを誘致。活動支援や行政と連携した事業開発を行い、のべ200人以上の移住が実現された。その手法が注目され、佐賀県武雄市など各地に拠点を構え活動を行っている。

 その手法に感化された私は、同社のメディア部門を担うチーフエディターとして共に仕事をしている。そこで2017年に立ち上げたのが「M.E.A.R.L」というWEBメディアだ。まちづくりの最小単位=個人と定義し、カフェ店主、アーティスト、不動産経営者、哲学者など多用な「個人」に取材を重ね、連載を依頼してきた。

 WEBメディアのイメージとは逆行するようだけれど、古地図を片手に長時間かけて調査を行うような我々は、瞬間的に消費される情報ではなく、ユニークな活動を行う人々を各地に訪ねる旅のような気持ちで今日も地道に運営している。

 大規模な都市計画による企業戦略ではなく、物語にあふれた個人の戦術に注目するのは、ロマンチックな思いからだけではない。目まぐるしい速度で変化するこの世界に対応するには、後者の視点が重要だと信じるからだ。

 折しものコロナ禍で、いま町には人の姿が少ない。テレワークやオンライン会議で業務効率が上がっても、誰しもが今暮らしている町の関係者であることに変わりはない。こんな状況だからこそ、町や「空間」が持ちうる強みや豊かさを探り、WEBを通じて紹介していきたいと思っている。

武田俊/松戸(千葉)
メディアリサーチャー・文筆家・編集者。1986年、名古屋市生まれ。法政大学文学部日本文学科兼任講師。JR埼京線沿線のエリアスタイルマガジン「SAI-KYO DIALOGUE LINE」編集長。まちづくり領域のバーティカルリサーチメディア「M.E.A.R.L」編集長。JFN「ON THE PLANET」月曜パーソナリティ。

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