社説:夏の甲子園中止 成果示す舞台の提供を

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 全国高校野球選手権大会の中止が決まった。いまだ収束が見通せない新型コロナウイルスの影響だ。高校球児や関係者の無念はいかばかりか。地方大会を含めての中止決定だが、本県をはじめ、全国各地で代替大会の開催を模索する動きがある。これは可能な限り実現してもらいたい。

 今春の選抜高校野球大会に続いての中止。夏の甲子園大会の中止は3度目で戦後初、選抜大会と春夏連続の中止は戦争での中断を除き史上初めてだ。

 全国大会が中止となった理由は、代表校が全国から移動し、長期間にわたって集団で宿泊することが感染リスクと見なされたことだ。地方大会については感染リスクのほか、長期間にわたる休校や部活動の休止で十分に練習できない選手の健康、安全への不安が指摘された。

 さらに夏休みの短縮で登校日を増やすことが検討される中、大会が学業への支障になる懸念もある。そもそも地域によって感染状況が異なるため、開幕予定日までに代表校がそろうのが困難とされる。

 球児や関係者の思いを尊重したくても、数多くの越え難いハードルが行方を阻んでいる。日本高野連などの主催者が中止に至った経緯を「苦渋」「断腸」などの言葉で説明したのは、そんな厳しい状況下にあることの表れだろう。

 今夏の開催が予定されていた東京五輪・パラリンピックは3月に1年の延期が決定。全国高校総合体育大会(インターハイ)は先月中止が決まった。プロ野球はいまだ開幕すらできていない。甲子園大会も同様に新型コロナの逆風には抗し得なかった。

 プロや社会人、高校1、2年生ならば「来季」や「来年」がある。しかし、高校3年生にとってはインターハイも甲子園も後のない大切な大会だ。

 甲子園大会の中止が決まった同じ日、全国高校軟式野球大会も中止が決まった。県内では県高校総合文化祭の総合開会式、全日本吹奏楽コンクール県大会なども中止が決定している。いずれも部活動の総仕上げとなる大会だ。そうした事情は、小中学生の部活動なども同じであることを忘れてはならない。

 せっかく積み重ねてきた練習の成果を発揮できないのではやりきれない。感染症の流行というどうしようもない事情による中止と分かってはいても、なかなか心の整理がつかないだろう。部活動などに打ち込んできた児童・生徒を励まし、勇気づけるために大人ができることは、力を競い、躍動できる舞台を提供することに尽きる。

 高校野球で地方大会の代替大会を模索する動きがあるように、文化系の部活動も含めて、最終学年の児童・生徒が成果を披露する場をつくれないだろうか。未来に向かい、胸を張って次のステージに進むのを後押しできたらと切に願う。

秋田魁新報電子号外

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