北斗星(5月24日付)

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 「切なく小さく家蝙蝠(いえこうもり)の歯なりけり」。俳人の夏井いつきさんが著した「絶滅寸前季語辞典」(ちくま文庫)にある自身の句だ。蝙蝠は夏の季語。古里愛媛を拠点に活躍する夏井さんは田園地帯に住んでいたころ、コウモリを夕燕(ゆうつばめ)と勘違いしていくつもの句を作ったと同書で告白している

▼秋田市の郊外でも夏の夕暮れ、飛び交うコウモリを見掛ける。農家の納屋がねぐらのようだ。10年ほど前、夜中に起きて居間の明かりをつけた時、黒い生き物がバタバタとエアコンの陰に隠れたのを見て驚いた

▼工事業者に電話で相談すると「おそらくコウモリでしょう」。室外機からの配管伝いに侵入したらしい。エアコンを点検してもらうと内部に潜んでいたコウモリが窓から真昼の空に飛び去った

▼そんなことを思い出したのは、新型コロナウイルスはコウモリのウイルスが別の哺乳類を経て人間に感染したという説を聞いたため。短期間とはいえ、同居していたことにゾッとした

▼エアコンはその後の故障で交換。2年前には寝室のエアコンが冷えなくなった。気付いたのが7月に入ってからで、盆すぎにようやく交換できた。どちらも計ったように設置から20年ほどで壊れたのは不思議なことだ

▼家電メーカーが「夏前にエアコンの試運転を」と定期メールで呼び掛けていた。感染症の影響で今年の夏は、自宅で過ごす日が多くなる可能性もある。修理も交換も夏本番になってからではままならない。試運転をお忘れなく。