北斗星(5月25日付)

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 営業自粛が明けた行きつけの居酒屋のそばを通り掛かって、ある変化に気付いた。以前にはなかったスタンド灰皿が店舗の脇に置かれていた。灰皿を囲む客の姿を見て、屋内が禁煙となったことを知った

▼受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が先月、全面施行された。同時に施行されたのが、飲食店の室内原則禁煙などを盛り込んだ県の受動喫煙防止条例だ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛生活などで条例のことをすっかり忘れていた

▼他人の煙で健康を害する理不尽さはいくら強調してもし過ぎということはない。国内では受動喫煙が原因の病気で年間1万5千人が命を落としているとの推計がある。たばこの害による経済損失は医療費など2兆円超に上るとみられる

▼愛煙家にはコロナ感染拡大も逆風だ。数少なくなった喫煙所は密閉、密集、密接の「3密」の温床。喫煙は個人の嗜好(しこう)とはいえ、コロナ感染症の重症化リスクとの関係も指摘されている

▼初夢に見ると縁起がいいとされる「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」は「四扇、五多波姑(たばこ)、六座頭(ざとう)」と続く。紫煙の立ち上るさまがめでたさに通じるのだとか。江戸時代と今では隔世の感がある

▼かつて喫煙していた身としては、誰かの健康を害していたのかもしれないと思うと、今更ながらやりきれなくなる。酒場の灰皿を吸い殻で山盛りにしたことも度々だったからだ。気の休まらない一服を続けている愛煙家も多いことだろう。少し気の毒にもなる。

秋田県内の禁煙施設などを紹介しています