社説:避難所コロナ対策 感染防止に万全を期せ

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 新型コロナウイルスは、災害時の避難所運営に大きな課題を突き付けた。大地震や豪雨災害などの際に大勢が一度に身を寄せ合う避難所は密閉、密集、密接の「3密」の典型であり、感染防止が難しいからだ。

 避難所は体育館や公民館などをあらかじめ自治体が指定する。専門家によると、欧米では1人当たり4平方メートル程度の広さだという。一方、日本の場合は1避難所当たりの収容人数が多く、被災者が1メートルも離れずに過ごすことが少なくない。

 密集した雑魚寝の状態で長期間の生活を強いられた事例もある。こうした厳しい環境が「災害関連死」の要因とも指摘されているほどだ。このように避難所運営には数々の課題があるが、新型コロナは根本的な運営見直しを迫るものだ。

 個々人が避難所でできる基本的な対策はまず、手洗いや消毒、マスク着用の徹底だろう。これに対して「3密」回避のための広さの確保は各自治体の責任だ。これから梅雨の時期を迎えて水害などの危険が高まることから、全国的に運営の見直しが進められている。

 熊本地震で被災した益城(ましき)町は1人当たり4平方メートルで試算したところ、1避難所の収容人数が5分の1に減少。避難所を増やすことが難しく、親戚や知人宅などに逃れる縁故避難を呼び掛ける。宮城県気仙沼市は警戒レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」の発令段階で、従来の倍の25カ所を開設する。

 本県でもさまざまな対応が検討されている。大館市は現在の1人当たり3平方メートルを6平方メートルに広げる方針。由利本荘市は避難所の定員を半分程度に抑え、開設場所を増やすことを検討している。縁故避難呼び掛けを視野に入れる自治体も目立つ。

 県内外を問わず、避難所では「3密」回避とともに換気や消毒、清掃の徹底が不可欠だ。特に重要なのは、受け入れ段階で感染の疑いのある人とそうでない人とを振り分けることだ。この段階で不備があれば、避難所内で感染が拡大しかねない。

 当然、受け入れ時の検温や健康状態の聞き取りも必要となる。その上で、感染が疑わしい人についてはテントや別室などに誘導しなければならない。動線についても、健康な人としっかり区別することが不可欠だ。

 多くの避難所を確保するには宿泊施設を活用する方法もある。だが、感染の疑わしい人への対応を誰が担うのか、宿泊客で埋まっていた場合、避難所として利用できるのかといった問題を避けて通れない。こうした点について自治体は施設側と事前に詰めておく必要がある。

 コロナ感染が自然災害と重なる複合災害はいつ起きるか分からない。第2波、第3波は不可避との見方もあり、そこに台風または地震が襲う恐れも拭えない。政府や各自治体は避難所対策の速度を上げ、感染防止に万全を期さなければならない。

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