社説:大館能代空港増便 コロナ後、回復のてこに

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 大館能代空港(北秋田市)の東京便が今年10月25日に始まる冬ダイヤから1往復増え、1日3往復になることが決まった。新型コロナウイルスの感染拡大により全国的に大幅な減便が続く中での決定であり、先行きに不透明な部分もある。だが、県や地元自治体は観光や経済活動の本格再開を見据え、増便が県北経済の回復のてことなるよう、旅客増に向けた取り組みに全力を挙げてほしい。

 増便は地方路線の維持・充実の取り組みを競う国土交通省の「羽田発着枠政策コンテスト」の結果だ。5枠に対し7空港が応募し、県、地元自治体などでつくる大館能代空港利用促進協議会と全日空の3者が作成した案が4位の評価を得た。増便は今年10月から2023年3月までの2年半。その成果を検証した上で増便継続などが検討されるという。

 同空港案は、新幹線駅のない県北地域にとって空路は「経済活動を支えるインフラ」と強調。現行の朝夕2便のダイヤに中間時間帯の便が加われば、羽田で乗り継ぐ関西や海外からの利用者の利便性が向上し、北東北の拠点空港として産業振興や観光誘客が見込めるとしている。

 秋田犬ブームを追い風に、森吉山の樹氷など観光資源の売り込みを進めているほか、地域住民への運賃助成を行っていることもあって、東京便の旅客数は増加傾向にある。19年は前年比5・0%増の15万4069人。5年前の14年から3万4806人(29・2%)増え、伸び率は全国平均(13・0%)を大きく上回る。コンテストでこの実績が評価されたのは間違いない。

 とはいえ、22年度の旅客目標は18年度比約6万9千人増と、かなり高めの設定だ。羽田で乗り継ぎがしやすい空港が現在の7から23に増え、誘客エリアが西日本を中心に拡大するが、実現は決して容易ではない。

 県や促進協はまず、空港の西日本での知名度向上と北東北の魅力発信に力を注いでほしい。観光やビジネスなどの利用を促すため、各種助成や支援策の拡充も必要だ。民間と力を合わせ、隣県を巻き込んだ広域的対応が従来以上に重要になる。

 新型コロナ流行前、羽田空港から入国する訪日客は増加傾向にあり、18年は約408万人に上った。地域連携DMO(観光地域づくり法人)・秋田犬ツーリズムは「海外からの乗り継ぎ客の受け入れ態勢整備が急務」とする。実際の往来が再開されるのはしばらく先になりそうだが、リムジンバスをはじめとする2次アクセスなど、訪日客に優しい環境は国内客にもアピールすることを再確認したい。

 国交省によると、18年の人口1人当たり年間消費額(127万円)は訪日客8人、宿泊を伴う国内旅行客23人の消費でカバーできる計算。人口減が進む地域には特に意味がある数字だ。大館能代空港から多くの人を呼び込み、経済回復につなげたい。

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