北斗星(5月30日付)

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 「猫なのに首輪をして、ひもにつながれて庭に座っていたんだ。犬みたいに」。岩手の知人から30年近く前に聞いた話だ。この猫の飼い主は盛岡市の作家・高橋克彦さん。ミステリーから歴史小説まで幅広い分野で活躍する直木賞作家である

▼猫は高橋さんが「北斎殺人事件」で日本推理作家協会賞を受賞した1987年から飼っていたホクサイ。写真&小説・エッセー集「吾輩は作家の猫である」で、ひもにつながれた写真を何枚か見ることができる

▼数年にわたり猫のふん害に悩まされてきた秋田市の警察官の行為が論議を呼んでいる。自宅敷地内で複数の猫を捕まえて山の近くに捨てた疑いがある。近所では10匹近くの飼い猫が行方不明。「家族同然の猫が急にいなくなりショック」と嘆いたり、付近を捜し回ったりする飼い主がいる

▼この出来事について本紙「声の十字路」欄にさまざまな意見が寄せられた。「涙が止まらない」と飼い主に寄り添う声がある一方、「放し飼いが迷惑なふん害につながっている」という投稿もあった

▼ホクサイは他の猫に感染する菌を持つ恐れがあったため、ひもにつながれたそうだ。これは特異な事例だろうが、かつて当たり前だった放し飼いは見直され、今は室内飼いが推奨されている

▼困り果てたにせよ、警察官の行為は認められるものではない。一方の飼い主側の心配りも求められる。「愛する大切な猫が、嫌われ者にならないように」という投稿者の声に耳を傾けたい。

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