北斗星(5月31日付)

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 バスケットボールの秋田ノーザンハピネッツの水野勇気社長(37)は手紙の効用を大事にしているそうだ。「相手に本気度を伝えたいときはメールより手書きの手紙がいい。字が下手でも相手の心を動かす効果がある」。以前取材した際、そう語っていた

▼デジタル世代の若き経営者にも手間暇を惜しまない古風な一面があると知り親近感を覚えた。水野さんの話を思い出したのは、コロナ禍の中で本県出身者から便りを頂く機会が増えたからだ

▼先月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が発令されると、埼玉県の鈴木鷹雄さん(79)=美郷町出身=からはがきが届いた。「今が一番辛抱の時期」。力強い筆文字に励まされた

▼収束の兆しが見えた折に受け取ったKKRホテル東京(大手町)料理長、小林正信さん(69)=小坂町出身=のはがきにはこうあった。「運動不足と飲み過ぎに注意。『ア ビヤント(また会おう)』」。語り掛けるような文言に癒やされ、心がぽっと温かくなった

▼ふるさと会が軒並み中止となり、友人とさえ接触しにくい。そんな厳しい状況下の東京で単身赴任生活を送る当方を同郷の先輩たちは気に掛けてくれたのだろう。その優しさが心に染みる

▼「コロナ騒ぎが落ち着いたら栃木においで」「一緒にバーベキューをするぞ!」と誘ってくれる方もいる。どの文面からも、思いやりの気持ちがひしひしと伝わってくる。近いうちに感謝の気持ちを伝えなくては。返信はもちろん手書きに限る。