社説:新品種米の作付け 品質保ち地域拡大図れ

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 県は2022年度に市場デビューするオリジナル新品種米「秋系821」の作付推奨地域を決定した。高品質を保つために県内各地の気象条件を踏まえ、25市町村の中から県央と県南15市町村の133地域を選んだ。来年度の先行作付け(80ヘクタール)、22年度の本格作付け(800ヘクタール)のいずれも推奨地域に限定する方針だ。

 秋系821は深い甘みや粘り、ふっくらとした食感が特徴で、高級ブランド米を目指す。特性を最大限に発揮するためには生育に適した土地で生産することが必要である。市場には多くの他県ブランド米がひしめいており、消費者から確実に選ばれるためには高い品質を安定的に維持することが大切だ。戦略上、推奨地域の選定は避けられない措置と言える。

 県によると、秋系821は本県主力のあきたこまちよりも12日程度成熟期が遅い晩生種。出穂期(8月上旬)後40日間の平均気温が22度以上を確保できれば、高品質を保つことができるとの試験データがある。県はこれを踏まえ、県内を240超のエリアに分けて気象データなどを分析し、条件を満たす地域を選んだ。

 ただし、選定された地域が秋田、由利本荘、大仙など15市町村に限られ、県南の東成瀬村と県北には一つもなかった点が気になる。全国的にコメの消費減少が続く中、高級ブランド米の生産に期待を寄せていた農家は多いはずだ。県北の農家から落胆の声が上がるのも当然だ。

 県は今回選定から漏れた地域についても、希望するJAが主体となって栽培試験を実施し、品質が確保できると分かれば推奨地域への編入を検討する。試験は来年度以降の見込みだ。

 農家の期待が大きいことを踏まえ、試験結果を迅速に分析し、判断を示すことが求められる。品質の確保と推奨地域の拡大とを可能な限り両立させるよう努めるべきだ。

 県は推奨地域と合わせ、生産団体の登録制度の内容も明らかにした。秋系821を生産、集荷するためには生産者と集荷業者が「生産団体」を組織し、登録を受ける必要がある。生産者は▽前年のあきたこまち1等米比率が90%以上▽種子を譲渡しない―などの要件を満たし、技術と意欲を持った農家に限定。集荷業者は栽培管理指導なども行う。このほか、食味に影響する玄米タンパク質含有率は6・4%以下にするなど、品質・出荷基準も示した。

 生産団体の登録制度、品質・出荷基準のいずれも、市場の信頼を得るには必須である。県は今月、生産団体の募集説明会を開催する。要件や基準の必要性も含め丁寧に説明し、農家や集荷業者の理解を得なければならない。

 県は年内に栽培マニュアルを策定する。生産者の研修の機会を十分確保し、作付けの本格化に万全を期してもらいたい。

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