北斗星(6月13日付)

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 県内各地で今、ニセアカシアの白い花が盛りだ。鉱山の煙害対策として明治期から植えられたニセアカシアが一斉に開花する小坂町は、一年で街が最も華やぐ季節を迎える

▼今日から予定されていたアカシアまつりは残念ながら、新型コロナウイルスの影響で中止になった。ただ、にぎやかな催しに目が奪われてあまり目が行かなかった花をじっくりと観察するきっかけにはなる

▼房状の花を間近で見ると、甘い香りに誘われたのか、アブラムシが付いていることが多い。針状の口を刺して内部の液を吸っている。びっしりと付いているのに、ニセアカシアにはあまり大きな害がないというから面白い

▼アブラムシとニセアカシアとの関係のように片方にだけ利益がある関係を「片利(へんり)共生」と言う。ウイルスと人類との歴史を見てみると、非常に長い時間をかけて、人間に対して致命的なダメージを与えないような関係を保ってきたウイルスも存在するという

▼相手の命まで奪えば、自分の方も死滅してしまうことを知っているかのようだ。新型コロナウイルスもいつかは人と共存するようなときが来るのだろうか

▼政府による全国への緊急事態宣言は既に解除され、東京都の休業要請も近く全面解除される見通しだ。感染の第2波には厳重な注意が必要だが、出口の見えないような新型コロナへの対応は一定の区切りを迎えたと言えるのではないか。コロナとの新たな共存に向け、小さな一歩が始まったと位置付けたい。