北斗星(6月19日付)

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 当初の計画通りなら今日は岩手県をランナーが駆け抜けたはず。東京五輪の聖火リレーのことである。今月9、10日に本県を通って北上した後、北海道から南下する予定だった。だがコロナ禍で1年延期。いまだ収束が見通せず、国際オリンピック委員会と大会組織委員会は大会運営の簡素化を進める方針で一致した

▼「完全な形で開催する」。政府はこう繰り返してきた。それは「(コロナに)打ち勝った証し」であり「規模を縮小せず、観客が一緒に感動を味わうもの」であると

▼だが最近はこうした表現を使わなくなった。高まる「中止論」を意識し、軌道修正を図ったのだろう。政府は開閉会式の簡素化や観客の削減を検討項目に挙げる

▼「完全」と「簡素化」は矛盾するが、そうとは認めない現政権。方針転換かと問われても「全く変わっていない」(菅義偉官房長官)と強弁する。「規模を抑えてでも開催を模索する」と素直に説明した方が、国民はすんなり受け止めただろう

▼五輪は206カ国・地域から1万1千人の選手と2万人のメディア関係者が集まる見込み。世界保健機関によると、世界的な流行拡大は続き、南北米大陸の被害が深刻化。ウイルスへの恐怖や不安は尽きない

▼県内には海外選手の事前合宿受け入れなどを予定する自治体がある。ワクチンがない中、感染リスクとどう向き合えばいいのか。難題に直面するが、訪れる側も迎える側も安全が第一だ。感染防止対策は「完全」にしたい。

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