<コトバ>大会がなくなった3年生へ 陸上・鈴木優花さん

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2019年7月、イタリア・ナポリで開かれたユニバーシアード女子ハーフマラソンで優勝した鈴木優花さん
2019年7月、イタリア・ナポリで開かれたユニバーシアード女子ハーフマラソンで優勝した鈴木優花さん

■陸上女子長距離・鈴木優花さん(大曲高出―大東大)

 昨年のユニバーシアード夏季大会陸上女子ハーフマラソンで優勝した鈴木優花さん(大東大3年、大曲高出)は、1万メートルでの東京五輪出場を目標に春の大会へ照準を合わせてきたが、新型コロナウイルスの影響でいずれも延期となり、仕切り直しを余儀なくされた。高校3年生と同じ悔しい思いをした鈴木さんにメッセージを寄せてもらった。

 東京五輪出場を目指し、春の大会で結果を出したい思いで練習をしてきました。新型コロナウイルスの感染拡大により五輪開催は難しいかもしれないと、発表前から何となく予想していましたが、いざ本当に目標が遠ざかった時のむなしさは今も覚えています。もっと練習を積み上げて強くなるという気持ちに何とか切り替えました。

 感染拡大による外出自粛要請や練習制限など目まぐるしい情勢の変化で一時期自分を見失いそうになった時に気付いたのは、掲げた目標がこれまでの大きな原動力になっていたということでした。そこで、もう一度目標を見直し、気持ちをリセットして再スタートし現在に至っています。

 個人練習に明け暮れる我慢の日々が続いていますが、大会が先送りになる中、モチベーションを高く持ち続けることの難しさにも気付きました。「まだ先のことだから」と油断してしまったら、今やっている一つ一つの基礎的な練習がおろそかになって体がなまり、戻すまでに時間を要します。そうなると「この数カ月は何だったのか」と、後悔するのは自分です。

 今の自分と向き合い、日々同じ練習を繰り返すうちに、おろそかにしてきたことが見えて、むしろチャンスだと感じています。できなかったことができるようになると、達成感と自信が湧いてきます。

 高校3年生の皆さんは、これまでの自分を超えるために全県、全国総体を目指し、今年こそはと意気込んでいたさなかに突然中止となり、本当につらいと思います。でも、これで全てが終わりではありません。未来を見据え「こんな勉強をして」「こんな職に就いて」「こんなことをして」と目標を持ち、それが実現したらどれほどうれしいか想像できますか。卒業後も競技を続けようと考えている人は、大学やプロ、実業団などで活躍している自分の姿を想像できますか。

 第一線で活躍する選手は、かつては皆さんと同じ高校生でした。それぞれ能力が開花した時期は違いますが、目標をずっと持ち続けたことが成功につながっています。どんな状況でも、何が起こっても、自分ができることを諦めずにやってきたからです。

 皆さんが今まで練習してきた時間は決して無駄ではありません。多くの楽しいことや苦しいことを経験し、仲間と心を通わせてきたこれまでの日々は、今後生きていく上で大きな財産となります。仲間や先生、コーチと過ごした時間はずっと心に残ります。

 高校での苦しい練習が、今の自分の体を動かしています。やってきて本当に良かったと思っています。「あの時の苦しさに比べたら平気!」と前向きに挑戦できる機会が、これからの人生でたくさんあると思います。自分を動かすのは、自分自身の心です。

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