北斗星(6月28日付)

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 「この国で一番偉いのは誰でしょう」。こう聞かれたら面食らってしまう。あの人か、この人か。なぞなぞのような質問で恐縮だが答えは「国民全体」

▼復刊「あたらしい憲法のはなし」(童話屋)に答えがある。現憲法が施行された73年前に当時の文部省が中学生の教科書として発行。国を治める力を「主権」と呼び、この力が国民全体にあるのが「主権在民」と分かりやすく説く

▼4年前、18歳から投票できるようになった。主権者教育として県央部の高校では公約を比較したり、本物の投票箱で生徒会役員選挙を行ったりした。その結果、家族で選挙に行った生徒もいた。「冷めていた生徒も1票を投じないと世の中は変わらないと気付いた」と担当教諭は語る

▼主権者教育の話を持ち出したのはこの1票の重さを踏みにじる事件が起きたからだ。公選法違反の買収容疑で逮捕された前法相と妻はともに現職国会議員。現金計約2570万円を配った疑いがある。地元広島では首長や議員が公の場で受け取りを認める異常事態だ

▼ある市長は150万円の受け取りを一転認め、「(前法相との)約束で2人の秘密を守ろうとした」と述べた。議長経験者の県議は200万円を受け取っていた。無理に押し付けられた人もいる

▼県南の高校ではこの事件記事を切り抜いた生徒がいた。「今後自分たちが投票する側になる。よく考えて選ばなければ」と発表したという。1票の重さを支える思いは確実に育ち続けている。

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