北斗星(6月29日付)

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 能代工業高校の校歌は童謡「赤とんぼ」を作った山田耕筰が作曲した。作詞は「春よ来い」を手掛けた相馬御風(ぎょふう)。歌詞の原案に「工業」の文字はなかったが、学校の要望で入れられた。この「いや進みゆく工業の理(ことわり)学び技を練り」が学ぶ意義を表現していて励みになる―。生徒からそう聞いたことがある

▼能代工の名を巡り波紋が広がっている。来春、能代西高と統合されるからだ。県教育委員会は統合校の名称案を「能代科学技術高校」とした。工業系3科と農業系2科からなり、アグリサイエンスコースなどを設ける

▼能代工はバスケットボールの強豪校で全国優勝58回を誇る。田臥勇太選手をはじめ、日本を代表する名選手や指導者を輩出してきた。卒業生やバスケファンが「能代工の名を残して」と9千人超の署名を集めた。その思いはよく分かる

▼一方、農業高校としての能代西の存在は無視できない。統合後は純然たる工業高校ではなくなる。能代西の同窓会は「能代科学技術」を尊重するよう県教委に要望した

▼学校の統合や新設の際は校名が大きな論議の的となる。10年前、湯沢北高と湯沢商工高の統合の際、当初案は「湯沢叡陵(えいりょう)」だった。文字が難しいなどと地元の反発を受けて湯沢翔北に決まった

▼学校は地域の象徴であり、卒業生の心のよりどころともなる。その主人公はこれから学んで巣立っていく若者だ。生徒が校名や校歌に親しみと誇りを持ち、新たな歴史と伝統をつくっていくことを望む。

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