社説:レジ袋有料化 環境重視への転換点に

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 スーパーやコンビニなど全国の小売店できょうから、プラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられた。マイバッグ使用の浸透など消費行動の見直しが進むことが期待される。

 背景にあるのはプラスチックごみによって深刻化する海洋汚染だ。海に流れ出たレジ袋を野生生物が誤食したり、細かく砕けたプラごみが魚介類から見つかったりしたケースが世界各地で報告されている。

 プラごみの1人当たりの排出量は、日本が米国に次いで2番目に多い。国際的に削減対策の強化が叫ばれる中、政府がレジ袋有料化の方針を掲げたのは昨年5月だった。既に多数の国が有料化や使用禁止に踏み切った後であり、日本の出遅れは明らかだ。

 国内で排出されるプラごみは年間約900万トン。そのうちレジ袋はほんの数%で、大半はペットボトルや食品包装容器などが占める。有料化は環境のため使い捨てをやめるという意識を定着させる第一歩にすぎない。大切なのはそれを全体の削減につなげていくことだ。

 国内ではマイバッグの持参を呼び掛けるなど早くからレジ袋削減に取り組み、効果を上げてきた企業や地域がある。有料化によってレジ袋の受け取りを辞退する買い物客の割合をさらに高めていきたい。

 有料化による消費者負担は1枚1円以上と決められている。負担が軽過ぎれば使い続ける人を減らすことはできない。効果が期待されるような適切な価格設定が大切だ。

 一方、海外では新型コロナウイルスの流行でマイバッグ使用に衛生面の懸念を示し、レジ袋禁止を中断した地域もある。ただしマイバッグが感染リスクになることを否定する専門家もおり、禁止の中断はあくまで一時的な動きとみられる。

 有料化には例外がある。厚さ0・05ミリ以上の厚手のレジ袋や、植物由来のバイオマス素材の配合率が25%以上の袋などが対象だ。「環境にやさしい袋」として無料配布を続ける店もある。

 厚い袋を例外としたのは繰り返し使えるという理由だが、使い捨てにされない保証はない。バイオマス素材の袋については、国連環境計画(UNEP)が地球温暖化などの面で弊害が大きく、環境負荷の軽減効果が低いと懸念する報告書をまとめている。例外が単なる抜け道になってはならず、いずれ見直しが必要になろう。

 世界有数の水産物消費大国である日本が海洋汚染対策で後れを取ってよいはずはない。食の安全の観点からもプラごみ対策を加速させるべきだ。

 有料化を機に、消費者と企業は便利なプラスチックに過度に依存してきたこれまでの社会を見直したい。政府は環境を重視した社会への転換を視野に、使用量、ごみ排出量の思い切った削減目標を掲げて実現を目指すときではないか。