社説:県産酒販売低迷 需要の喚起に知恵絞れ

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 新型コロナウイルスの影響で、県内酒造会社が苦戦している。例年なら日本酒の需要が増える春先に、飲酒を伴う集まりが自粛されたことなどが響いた。状況打開に向け業界と県、市町村などは一体となって需要喚起へ全力を挙げるべきだ。

 県産日本酒の2~5月の月別出荷量は前年同期比9~25%減。会社によっては50%以上減った月もあるという。

 感染防止のために歓送迎会や花見などの行事を中止する動きが広がったほか、全国に緊急事態宣言が出され、飲食店が営業時間の短縮や休業などを余儀なくされた。大型連休中の観光客の減少に伴い、土産品用の需要も落ち込んだ。

 2018年工業統計調査によると、本県の日本酒出荷額は年間184億円に上り、食料品・飲料等製造品出荷額の13%を占める。酒造業は地域の雇用を支える重要な役割を果たしている。経営が立ちゆかなくなり、雇用が失われる事態は避けなくてはならない。

 日本酒の出荷量は県内が約3割、首都圏が約4割を占める。緊急事態宣言が解除された後は飲食店の通常営業が再開されたものの、大人数での利用を控える傾向が続いている。前年並みの需要を取り戻すのには時間がかかりそうだ。

 感染リスクがある限り、飲食店などの客足が元通りになるのは容易ではないだろう。コロナ禍の中で日本酒の需要をどう喚起するか。真剣に知恵を絞ることが必要だ。

 事態の打開に向けた取り組みは徐々に動きだしている。秋田市の卸会社は県内酒造会社と連携。県内33社がそれぞれ厳選した日本酒の中から、好みの2種類を購入してもらう特典付き企画「美酒王国秋田便」を始めた。購入者にはハタハタのオイル漬けなどの県産品5種類のうち、希望する1品が贈られる。県内酒販店やインターネットから申し込みが可能で、今月下旬までの限定企画だ。

 この企画は、特典の県産品購入費などとして県が500万円を上限に補助。会員制交流サイト(SNS)なども活用しPRを徹底すれば、新たな県外需要を発掘できる可能性もある。県はこうした支援を一過性で終わらせず、継続してほしい。

 各酒造会社独自の販売努力も欠かせない。飲食店や土産物の需要の落ち込みを少しでも補えるよう、ネットを生かした通信販売などに一層力を入れ、新たなファン獲得に努めたい。

 県酒造協同組合によると、この秋には県内の各酒造会社が統一ラベルの新商品を売り出すことを検討中。オンラインなどで乾杯し、その商品を楽しむイベントを10月1日の「日本酒の日」に開催したい考えだ。

 新型コロナの影響は長期化が予想される。踏ん張りどころはまだ続く。県民が力を合わせて地元企業を応援する機運も高めていきたい。

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