ミュシャ展(3)モナコ・モンテ・カルロ

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モナコ・モンテ・カルロ(1897年、カラー・リトグラフ、110・5×76・5センチ、OGATAコレクション)
モナコ・モンテ・カルロ(1897年、カラー・リトグラフ、110・5×76・5センチ、OGATAコレクション)

 モンテカルロは、モナコ公国の中心地区の名前である。同地区は19世紀後半、モナコ大公シャルル3世によって山間部が開発され、多くの人々が集まるバカンスの地となった。この地区の観光事業に力を入れたのがパリ・リヨン・地中海鉄道会社で、本作はその宣伝のために制作された。右下には同社の略称「P.L.M.」や「豪華列車で16時間の旅」などの文字情報が書かれている。

 海岸と山を背景に上を見上げる女性。シクラメン、ダイアンサス、ライラックなどの花を装飾した輪と、ゆるやかな曲線を描く4本の茎が女性のまわりに配置されている。

 口元に手を添えた女性のポーズと表情、流れるような植物文様を巧みに組み合わせた構図により、見る人の視線は上へと導かれる。女性の目線をたどると、モナコ・モンテ・カルロの文字があり、地名が強く印象付けられる。

 鉄道会社のポスターだが列車は描かれない。ミュシャは得意とする女性と花をモチーフに、優れたデザインによって一瞬で人々を引き付け、旅への憧れをかき立てたのである。

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