ミュシャ展(4)ムース川のビール

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ムース川のビール(1897年、カラー・リトグラフ、141・0×90・0センチ、OGATAコレクション)
ムース川のビール(1897年、カラー・リトグラフ、141・0×90・0センチ、OGATAコレクション)

 女優サラ・ベルナールが演じる舞台「ジスモンダ」のポスターを手掛け、一気にポスター界の寵児(ちょうじ)となった後、ミュシャにはさまざまな業種から広告の注文が舞い込んだ。

 ムース川はフランスから北海まで達する川の名前。本作は、その川の名をとったビール会社の宣伝のために制作された。豊かな泡があふれるビールの入ったふた付きのジョッキを手に持ち、女性がほほ笑んでいる。その髪はしなやかになびき、背後の樹木に絡みつくつるとともに画面に軽やかな動きのある印象を生み出している。

 頭部の装飾モチーフはミュシャ作品の見どころの一つ。大麦、ホップ、マーガレット、コクリコ(ケシの一種)などの植物によって鮮やかに彩られている。大麦、ホップはビールの原料であり、ポスターを見る消費者にその味を連想させる。

 背景には明るい色彩が使われ、頬を赤く染めた女性の表情と相まってアルコール飲料の宣伝にふさわしい陽気な雰囲気が漂う。なお、画面下部の枠内には別の作家によるムース川の女神と工場の絵が添えられている。

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