北斗星(7月15日付)

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 JR横手駅の改札口そばに珍しい自動販売機がある。売っているのはおなじみのソフトドリンクなどではない。横手やきそばや稲庭うどん、ワラビの水煮といった地場産品の数々。ターゲットは観光客やビジネス客だ

▼横手駅は従来、構内に土産品店がなく「買える場が欲しい」との声が横手市に寄せられていた。採算を不安視する見方が強く、出店の動きはなかなか出てこなかった。市が地元業者団体に相談したところ、特産品卸業者・三浦商店が自販機の活用を提案。今年2月、飲料品用の自販機を転用して営業を始めた

▼自販機だから店を構えるよりコストは減少。乗車の直前でも手軽に買えるのが便利だ。立ち止まって品定めする人も見掛ける

▼新型コロナウイルスの影響で春以降、観光客らの往来が激減し、県内の土産品業界が苦戦している。JR秋田駅の駅ビルでは59年間営業した土産品店が閉店した

▼横手駅の自販機も3~5月は売り上げが月数万円と低迷。その後出張などで訪れる人が徐々に増え、6月以降の売れ行きは伸びている。三浦勝則社長は「コロナ禍で店舗内の密集や対面での購入を避けたい人の需要にも応えられる」と語る。既に道の駅十文字に2台目を設置。場所によって商品を替え、県内外で展開したい考えだ

▼インターネットを利用した販売強化や新商品開発などで苦境を乗り越えようと多くの業者が努力している。その中からコロナ後も定着する新ビジネスが生まれるかもしれない。