社説:移住相談 地方回帰、確かなものに

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 東京など大都市圏から地方に生活の場を移す「移住者」が徐々に増えている。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染リスクの高い人口密集地を脱しようとの動きもあり、移住の流れが確かなものになるかどうかが注目される。

 ここ数年の推移を見れば、本県でもその傾向は顕著だ。県によると、移住者数は2017年度には314人だったが、18年度には459人、19年度には494人と増加している。県は東京都千代田区に開設した「Aターンサポートセンター」を拠点に移住相談に力を入れているほか、市町村も積極的に取り組んでおり、成果が出た形だ。若者の県外流出が後を絶たず、人口減に歯止めがかからないだけに、この機運をしぼませず定着させていきたい。

 県内市町村では秋田市が唯一、都内に相談窓口を置く。JR東京駅近くに19年春、「移住相談八重洲センター」を開設して以来、月平均で10人ほどの移住希望者が来訪。常駐する2人の相談員が住まいや子育ての相談に応じるとともに、就職のサポートを行っている。

 今春はコロナ禍に伴い、対面による相談が一時できなくなったが、ウェブ会議システムを活用したオンライン相談に切り替えるなど柔軟に対応。自宅にいながら相談できることから、かえって便利だとの声もあり、対面相談を再開した後もオンライン相談を続けている。

 相談するのは子育て世代が目立つという。進学や就職に伴い東京での生活を選んだものの、子育てするには親がいる秋田の方がいいなどとしてUターンを選択する人が少なくない。コロナ禍をきっかけに最近は単身者の相談も増えており、さらなる移住者増に結び付く可能性がある。一層親身な相談に努めてほしい。

 由利本荘市も移住対策に熱心だ。15年から毎年、都内の会場で移住相談会を開催。コロナ感染拡大で移動が難しくなった今春以降もウェブ会議システムを活用した相談会を開き、移住希望者の要望に応えている。

 政府が東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)在住の20~50代を対象に今年1~2月に行ったインターネット調査では、地方で暮らすことに関心を持っている人がほぼ半数を占めた。理由は「豊かな自然環境がある」「生まれ育った地域で暮らしたい」が多く、「東京圏での生活が合っていない」との回答もあった。

 外出自粛が求められる中でテレワークによる在宅勤務に取り組み、大都市に住まなくても一定の仕事ができることに手応えを感じた人は少なくないはずだ。地方の良さを再認識した人もいるだろう。

 要は、そうした人たちの思いをいかに真剣に受け止め、移住・定住へ後押ししていくかだ。県や市町村には、これまで以上にきめ細かなサポートが求められる。

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