洋上風力促進区域指定、活性化へ期待感 住民団体は不安訴え

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 洋上風力発電の促進区域に秋田県の「能代市、三種町および男鹿市沖」と「由利本荘市沖(北側)」「由利本荘市沖(南側)」が指定された。地元からは経済活性化につながることを期待する声が聞かれたほか、風車建設に反対する団体から「住民の不安が軽視されている」との指摘があった。

 能代市の斉藤滋宣市長は、「洋上風力発電の振興に向けて大きく前進すると期待する。日本の洋上風力発電産業の中心となるべく、鋭意取り組みたい」とコメント。風車の建設や組み立て、部品製造などの面で、能代港が拠点港となるよう努力するとした。

 三種町の田川政幸町長は、「新たな再生可能エネルギーとして洋上風力への期待が高まる。一段階先に進んだのはうれしい」と評価。新型コロナウイルスの感染拡大で公募手続きや事業が停滞するのを懸念しつつも、「スケジュールが順調に進んでほしい」と語った。

 男鹿市の菅原広二市長は、地球環境のため再生可能エネルギーの導入推進が重要だとし、「漁業と景観への影響がないよう、事業者にはしっかり対応してほしい」と強調。「工事期間や稼働後のメンテナンスで船川港を活用してもらうことで、産業振興にもつながることを期待している」と述べた。

 能代市、八峰町の住民でつくる「能代山本洋上風力発電を考える会」の中根慶照会長(能代市)は「洋上風力発電を推進する機運が高まるにつれ、自然や景観、日常生活への影響など、これまで指摘されてきた問題が軽視されてしまうのではという不安が拭えない」と話した。

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■国は適地への導入後押し、事業者も商機に熱視線

 国の促進区域に指定された能代市、三種町および男鹿市沖と由利本荘市沖(北側・南側)は、洋上風力発電における国内有数の適地とされる。経済産業省は洋上風力発電を「再生可能エネルギーの主力電源化の鍵」と位置付け、本県沖を含む適地への導入を後押しする考え。事業者は大きな商機と捉え、既に県内で環境影響評価(アセスメント)の手続きを進めるなど、熱い視線を注いでいる。

 県の第2期新エネルギー産業戦略によると、本県沖は一年を通じて平均毎秒7メートル以上の風が吹き、水深30メートル以内の遠浅の海底地形を有する。これらは海底に基礎を固定して風車を設置する着床式洋上風力発電に適しているという。

 能代市・三種町・男鹿市沖の促進区域は約6270ヘクタールで、国は出力規模約40万キロワットを見込む。由利本荘市沖は北側が約6480ヘクタール、南側が約6560ヘクタールで、出力規模は計約70万キロワットを想定。関係者によると出力規模などから、能代市・三種町・男鹿市沖と由利本荘市沖の事業費を合わせると約5千億円に上る。

 年間の売電収入は、昨年度までの政府の固定買い取り価格(1キロワット時当たり36円)を用いると約1千億円になるという。ただ、今回の公募では事業者の供給価格が競争の対象となるため、実際の売電収入はこれを下回るとみられる。事業者は促進区域ごとに公募で選ばれる。ある事業者は「これだけの巨大事業をやり遂げられるかどうかが、選定の大きな要素になる」と話す。

 能代市・三種町・男鹿市沖、由利本荘市沖には、それぞれ5事業者(企業連合体含む)が事業化に意欲を示している。「意欲のある事業者は既に名乗りを上げており、さらに増えることはないだろう」とみる事業者もいる。