WEB独自:高橋優ロングインタビュー デビュー10年、自らを解き放つ

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2019年秋田キャラバンミュージックフェスで歌う高橋優
2019年秋田キャラバンミュージックフェスで歌う高橋優

秋田の雪山にひとり、ギターを弾いて歌う少年がいた。誰かに聞いてもらいたいと願いながら、自分で曲を作っていることさえ照れくさくて友だちにも言えず、いつもひとりきりで歌っていた。観客はキツネとタヌキだけだった。ただ、ひたすら音楽が好きで、大人に「意味がないからやめろ」と言われても声が枯れるまで歌い続けた。

7月22日に配信開始となった高橋優の新曲「one stroke」は、少年時代の夢とメジャーの最前線に立ち続けてきた現在の自分とをつなぐ結節点にある。デビュー10周年を迎え、新たな一歩を踏み出したばかりの高橋にオンラインでインタビューした。
(聞き手・安藤伸一)

―「one stroke」の歌詞を聴くとデビュー10周年を意識したようにも感じます。まず、新たな旅の始まりであると。それは少年のころの夢につながっていると。新たなステージに踏み出す高橋優というミュージシャンの宣言のようにも聞こえました。そのような気持ちはあったのですか。

ありましたね。この曲は昨年12月に始まった「free style stroke」というツアーの中で演奏し、お客さんの反応を見ながら歌詞を変えたり、感覚的に調整したりして進化させてきました。自分と自分の歌を聞いてくれる人たちを解き放てるような空間をこのツアーでつくりたかった。その空間を象徴する曲にしようと。結果的に、10年やってきた自分の新たな一歩と呼べるような曲になったと思います。

■雪山で熱唱、思春期の衝動

―少年のころと今の自分との連続性を感じる曲でもあります。高橋さんの少年時代のエピソードとしてぜひ聞いておきたいことがあるんです。

おっ。何でしょう。

―私たちにとって高橋さんは山内村から出たミュージシャンです。横手市じゃなくて、あえて山内村といいます。

はい。うれしいです(笑)。

―山内村に住み、湯沢商工高(現・湯沢翔北高)に通っていた高校生のときに、山の中でひとりギターを弾いて歌っていたそうですね。しかも雪が降り積もる時期にも。冬の山内村ですよ。岩手県との県境にあって山深い土地。もちろん豪雪地帯です。高校生がギターをかき鳴らしているって、想像するとすさまじい光景です。どんな衝動があったのか、どこからそのエネルギーがきたのか。そのときのことは思い出せますか。

鮮明に覚えていますね。逆に思春期に衝動がない人っているんですかね。中学、高校のころ、自分はほかの人たちからどう見られてるんだろうって気にしますよね。クラスのほかの男子がめちゃくちゃかっこよく見えて、自分だけがしょぼく見えたりとか。実際しょぼかったんですけど、そこは置いといて(笑)。女性もきれいな人たちがいて、自分は決して交わることはなくて。

勝手にひとりでコンプレックスを抱いてほかと比べてしまうようなところが、僕にはあったんです。

そんなとき、僕は「自分って何なんだろう」という疑問に答えられる人間になりたかった。中学生のときはそれがあいまいで、サラリーマンになってちゃんと稼いで、ひとりで生きられる人になればいいやって答えることが正解のような気がしていた。

でも、歌に出会ってしまって、歌を書いて歌うことがどんどん、自分のライフワークというか、ルーティンワークになっていったんです。1日1回は大声を出して歌っておかないと、自分を自分たらしめるものがなくなってしまうような感覚ですね。

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