社説:県内の洋上風力 参入企業は地元貢献を

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 経済産業、国土交通両省は本県沖の3海域を洋上風力発電普及法に基づく促進区域に指定した。これにより3海域に発電用の巨大風車が建設されることが事実上決定。年度内にも発電事業者の公募を始め、2030年度までの運転開始を目指す。

 既に大手電力会社などを中心に参入表明が相次いでいる。洋上発電整備に伴い、県内の産業振興や雇用拡大などの波及効果が期待される。参入を目指す企業は実効性の高い地域貢献策を事業計画に盛り込んでほしい。

 促進区域に指定されたのは「能代市、三種町および男鹿市沖」「由利本荘市沖(北側)」「由利本荘市沖(南側)」。本県沖は年間を通じて強い風が吹き、洋上風力の国内有数の適地とされる。県も導入を産業振興戦略の一つに位置付けている。

 国が洋上風力を促進するのは、国際的に批判が強い石炭火力発電所の休廃止を進める上で、再生可能エネルギー拡大が不可欠だからだ。17年度の電源構成に占める再エネは約16%。30年度には22~24%とする目標だ。

 再エネのうち、現在最も発電量が多い太陽光発電や近年拡大している陸上の風力発電は適地が限られている。そのため国は、洋上風力が再エネを主力電源にする鍵とみている。

 国の促進区域とは別に、県管理の秋田港と能代港の港湾区域内では今年2月、丸紅など県内外の13社で構成する特別目的会社「秋田洋上風力発電」が発電施設の建設に着手。洋上風力発電の国内初の大規模商用運転となる見通しで、洋上風力の普及に向けた試金石となる。

 本県沖には促進区域と両港湾区域の他にも、洋上風力発電に適しているとみられる海域が2カ所ある。仮にその全てに発電施設を整備する場合、建設事業費は計1兆円超になると県は試算。このうち県内企業が受注できる可能性のある額は2691億円と見積もっている。

 県が14年度の県内企業アンケートなどを基に算出した額だけに、不確定要素は多い。だが建設や運転、保守点検などで県内企業が参入できれば経済的なメリットは大きいとみられる。

 住民の間には巨大風車による景観破壊、風車が発する低周波音による健康被害、野鳥が風車の羽根に衝突する「バードストライク」などへの懸念が根強い。ハタハタなどの回遊魚に及ぼす影響は不明な点が多い。事業者は住民が納得できるよう丁寧に説明し、長期的なモニタリングや対策を進めるべきだ。

 促進区域の発電事業者公募の際、国は評価基準の策定や評価について知事から意見を聴取する。県は市町村や住民の声を国に届ける重要な役割を負う。住民の声に真摯(しんし)に対応し、地元に積極的に貢献する事業者が選ばれるよう力を尽くさなければならない。県は県内の関連産業育成へ環境づくりを強めることが求められる。