社説:女性登用先送り 掛け声に終わらせるな

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 職場での女性活躍のため「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」とした目標を政府は断念した。現状は14・8%(19年)で達成は到底無理だからだ。看板政策でありながら十分な取り組みをしてこなかった政府は次の目標を明確にし、実効性ある施策の推進に努めなければならない。

 内閣府の有識者会議は「20年代の可能な限り早期に30%程度となるよう」と目標を後退させる素案を公表した。「第5次男女共同参画基本計画」として12月にも閣議決定する。新たな達成時期も明記せず先送りするのは責任ある姿勢とは言えない。

 目標は03年に設定。安倍内閣は14年にこれを成長戦略に明記したが、設定から15年以上を経ても達成できていない。14年時点で企業や公務員の女性管理職は11・3%。これより上昇しているとはいえ、このペースでは新たな目標達成も不可能だ。

 米国やスウェーデンは40%超、英国やノルウェー、フランスも30%超で日本とは大きな違いがある。男女間の格差をなくすのは国際的な流れだ。現在の安倍内閣の閣僚19人中、女性は3人。衆院議員の女性比率も1割弱にすぎない。政治が真剣に取り組んできたのか疑問だ。

 30%達成に向けた仕組み自体、十分でなかった。16年に女性活躍推進法が施行。従業員301人以上の企業と国、自治体に、管理職に占める女性比率の数値目標などを明記した行動計画の策定と公表を義務付けた。だが数値は企業の裁量に委ねられ、実現しなくても罰則はない。

 事実上、職場任せだったわけで状況を検証して前進させる仕組みがなく、到達への具体的手法も示されなかった。これでは掛け声だけだったのに等しく、達成に至らないのも当然だ。

 政府が先月まとめた「女性活躍加速のための重点方針2020」では、女性の管理職登用や政治参画の低水準ぶりを受けて「取り組みを一段と加速させることが喫緊の課題」と記した。しかしそれに即した実効性のある策は示されていない。政府は女性登用が進まない要因を綿密に分析し、次の政策に反映させるべきだ。

 女性登用が進まない背景には家事や育児の女性の負担が解消されていないこともある。子育て世代の30代女性の就業率が大きく落ち込む「M字カーブ」の解消、緩和対策が急務だ。女性が働きやすい環境を整えてこそ女性の就労率が上がり、能力も十分に発揮できる。

 男女雇用機会均等法が施行されて34年。女性が働きがいのある職場づくりは社会全体で取り組まなくてはならない。企業は女性登用をためらわず、行政も範を示すことが大事だ。

 新型コロナウイルスの影響で女性の就業者数自体が減っている。長時間労働削減やテレワークを進めている企業を政府が支援し、性別を問わず働きやすい社会をつくることが必要だ。

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