遠い風近い風[井川直子]デパートの大食堂

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 「え、オムライスが二千円もするの! 洋食ってこんなに高かったっけ?」

 ある編集者と洋食屋へ行ったとき、彼女は明らかにうろたえた。彼女が知っているのは、卓上のケチャップを自分でかける八百円のオムライス。それも正しい。でも、二千円のほうだって誠に由緒正しいのだ。

 洋食は、西洋料理を起源としている。明治時代は皇族、華族、政治家、軍人らが外交として嗜(たしな)み、場所も外国航路の船や宮内省御用達の店などに限られた。そこで修業した料理人が街場へ散らばることになるのだが、今度のお客は一般の日本人。何でも「ごはん」に合う合わないが基準、という人々のために西洋料理はチューニングされ、日本独自の洋食が生まれた。

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