社説:リモートワーク 本県移住促進に生かせ

お気に入りに登録

 県外での仕事を続けたまま本県に移り住んでもらおう。県はそんな移住促進対策に新たに取り組む。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で在宅勤務などが急速に広がっていることを受け、東京などの企業に勤める社員が本県に拠点を置いて働く「リモートワーク」を進める。実現に向けて必要な支援も行う。

 新型コロナは人口が集中する東京を中心に感染が広がっており、一極集中の是正の必要性が改めて指摘されている。感染リスクが比較的低い地方への移住に関心を持つ人も少なくない。本県を含む地方での暮らしが今後、一層見直される可能性がある。

 リモートワークは通勤や職場での密集を避ける有効な手段であり、パソコンや通信環境さえあればどこでも可能だ。この方法で従来通り仕事を継続できるとなれば、地方移住を前向きに考える人は多いのではないか。本県にそうした人たちを確実に呼び込みたい。県と市町村が連携し、受け入れに全力で取り組むべきだ。

 事業費は約1億6千万円。先月の臨時県議会で可決された新型コロナ対策の補正予算に計上された。首都圏企業などの意向を尋ねるアンケート実施、県内のリモートワーク拠点となる執務専用スペースの整備支援、首都圏でのPR展開などが柱だ。

 アンケートは東証上場企業など約4千社を対象に10~11月に行う。各社に対し▽社内でのリモートワーク導入状況▽本県でのリモートワークの可能性▽実現への課題―などを質問。企業や社員らが具体的にどのようなサポートを求めるのかを把握し、受け入れを進めるための支援メニューの策定につなげる。

 本県でリモートワークを実施すれば、社員が出張で上京する際の経費などは企業のかかり増しとなる。そうした負担の軽減策を含め、具体的な要望を聞きながらきめ細やかな支援策を打ち出したい。関心を示した企業には積極的に社員の移住を働き掛け、まずは一日も早くモデル事例をつくるべきである。

 リモートワーク拠点は県内2カ所を想定しており、年度内の開設を目指す。十分な通信環境を備えた執務スペースを開設する県内企業に対し、経費を助成する方針だ。

 基本的に在宅のリモートワークが想定されているが、子育て中であることなどから自宅利用が難しい人もいるだろう。そうした人に執務専用のスペースは利便性が高い。本県が受け入れに力を入れていることは、会員制交流サイト(SNS)を含め、各種媒体を通じて積極的にPRしていくことが必要だろう。

 リモートワークによる地方移住の推進は、政府も先月策定の「まち・ひと・しごと創生基本方針」に盛り込んだ。今後、具体策が示されるだろう。人口減に少しでも歯止めをかけられるよう、国の動向を見極めながらあらゆる可能性を検討したい。