社説:コロナ再拡大 首相は国会召集決断を

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 新型コロナウイルスの感染再拡大などへの対応を巡り、野党4党は臨時国会召集を政府、与党に要求した。全国的な感染者急増に歯止めがかからず、その対策が急務だ。早急に臨時国会を召集して、いかにして感染拡大を封じ込めるかを安倍晋三首相が自らの言葉で明示することが求められる。

 憲法53条は衆院か参院の4分の1以上の議員が要求した場合、内閣は臨時国会を召集しなければならないと定める。野党の要求はこの規定に基づく。

 安倍政権は3年前、野党の召集要求を3カ月以上放置した。その是非が問われた訴訟で那覇地裁は今年6月、国会召集は内閣の「法的義務」と認定した。政府は今回も早期召集に難色を示している。判決の重みを受け止めて行動に移すべきだ。

 通常国会が閉会した6月中旬は、全国の1日の新規感染者数は2桁台だった。最近は7月31日の1578人を最多として4桁台が5日連続するなど、桁違いの感染者数となっている。

 感染第1波の4月ごろと比較して若年層の感染が多く重症者は少ないとはいえ、中高年層の感染もじわじわ増えている。医療現場では医療体制の逼迫(ひっぱく)への危機感が高まっている。このまま増加が続けば、医療崩壊などの深刻な事態を招きかねない。

 しかし、政府は感染防止と社会経済活動の両立を進めると繰り返し、緊急事態宣言を再び出すことには慎重だ。国会では7月中、閉会中審査が行われたが、安倍首相は一度も出席しなかった。首相の記者会見も1カ月以上開かれていない。緊迫度を増す感染拡大について安倍首相が前面に立ち、対策を説明しないのはどうしたわけか。

 政府の消極姿勢とは対照的に、岐阜県は県独自の「第2波非常事態」を発令。沖縄県も独自の緊急事態宣言を出した。その他にも、各地で飲食店の休業や営業短縮を求める自治体の動きが相次いでいる。対策と責任を地方に丸投げするような政府の姿勢は役割放棄と言うしかない。

 政府が前倒しで実施した観光支援事業「Go To トラベル」を巡る混乱は今も続いている。お盆期間の帰省について西村康稔経済再生担当相は先頃、帰省先の高齢者に感染リスクが及ぶとして慎重な対応を求めたが、菅義偉官房長官は帰省を制限するものではないとして軌道修正を図った。

 政府と自治体の足並みの乱れや政府内のちぐはぐな発言が繰り返されていては、混乱が拡大しかねない。政府はもっと責任ある対応をするべきだ。

 政府は新型コロナウイルス特別措置法の改正については必要性を認め、全国知事会は休業要請に応じない事業者への罰則導入などを要望する。とはいえ私権制限を伴う法改正に拙速な議論は禁物。十分な審議時間を確保し議論を尽くすためにも臨時国会の早期召集が必要だ。

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