社説:県内初クラスター 拡大防止に全力挙げよ

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 秋田市で新型コロナウイルスによる県内初のクラスター(感染者集団)が発生した。男女計14人の感染が昨日確認され、県内の累計は32人となった。県や秋田市など関係自治体は感染実態の把握を急ぎ、拡大防止に全力を挙げなくてはならない。

 クラスターが発生したのは秋田市のJR東日本秋田支社バスケットボール部。感染者は同部員、部関係者計10人と同部が練習試合を行った際に審判を務めた男性1人、さらに部員の家族3人。発熱やせき、のどの痛みなどの症状があり、昨日のPCR検査で陽性が判明した。

 感染経路などは昨日時点では不明。症状があって検査した部員らの感染が確認された後、濃厚接触者とされた部員や部関係者、同居家族、職場の同僚らのPCR検査が行われた。検査は今後も引き続き行われる。感染拡大防止のため経路の解明、濃厚接触者の特定と検査が急がれる。

 本県では4月半ばに確認されてからしばらく感染者がなく、先月下旬に100日余ぶりに感染者が確認された。今回のように1日で14人もの感染者の確認は初めて。県は既に計235の入院病床を確保しているというが、あらゆる事態への備えを早急に整えておきたい。

 県は先月下旬、独自に5段階の警戒レベルを設定した。新規感染者数の目安でみれば、1週当たり7~24人の「レベル3(協力要請)」に相当するが、「レベル2(強い注意喚起)」に据え置かれた。「感染の広がりは限定的」との判断による。

 全国では先月末から1日の感染者が千人を超える日が続いている。東京都や大阪府など大都市はもちろん、地方でも感染拡大が深刻だ。

 注意しなくてはならないのは感染が少ない地域でも大規模クラスターが発生すれば瞬く間に感染者が増加することだ。6月末時点で感染者が6人だった徳島県は現在50人を超える。11人だった鹿児島県は300人に迫っている。本県も気を緩めることはできない。

 プロスポーツでは一定の感染防止ガイドラインがあり、素手でのハイタッチ、飲用ボトルの共用禁止などが指導されている。JRのような実業団チームについてはどこまで徹底されていたのか。

 運動施設の更衣室などはかねてクラスターが発生しやすい場所として指摘されていた。今回のケースではそうした場所での対策を含め、体育館の環境などについて検証が必要になろう。

 残念なのは複数部員の発熱がありながら、高校生などとの練習試合が行われたことだ。全国の深刻な感染状況を考慮して中止できなかったのか。

 いまできることは過度に神経質にならず、マスクや手洗い、人との距離、換気などの感染予防対策を継続することだ。当たり前の対策こそが、地域の感染拡大を食い止める鍵になる。