北斗星(8月8日付)

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 きょう8月8日は何の日でしょう? 答えは「笑いの日」。笑い声の「ハハ」に掛けて1994年日本不老協会が中心になって制定した。人生に苦労や悩みは付きもの。それだけに日常生活の中で笑いやユーモアを忘れないようにしたい

▼国内外の小話や詩歌に潜むユーモアを紹介した一冊がある。英文学者外山滋比古さんの著書「ユーモアのレッスン」だ。ユーモアには教養や洗練された感覚が必要と説明している

▼表現が分かりやすいのは言葉の研究を重ね、奥義を究めたからなのだろう。83年刊行の「思考の整理学」は大学生ら若い読者を獲得。250万部以上のロングセラーだ

▼この本で面白かったのは卒業論文の執筆をビール造りに例えたくだりだ。脳は「醸造所」に当たり、書きたい素材とアイデアをしばらく寝かせておく場所。それによって「発酵」し、考えや思いが具体化するのだという。卒論以外でも時間をかけて自ら考えることの大切さを指摘する

▼外山さんが96歳で亡くなった。2007年の本紙記事で執筆動機を語っている。「頭を使うというのが、知識の吸収と記憶しかないように思うのは誤っている。新しいことを考え出すことができてこそ人間、考える葦(あし)である」

▼人生の意味や社会の在り方といった大きな問題は心の中で温めて、じっくりと考えることが大切だ―。スピードが求められ、素早い判断を迫られることの多い現代人に対し、外山さんはそう伝えようとしているように思える。