最後の大会、亡き兄と共にプレー 金農高野球部・佐々木さん

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県高校野球大会の明桜戦で、無安打無得点試合を阻止する左前打を放った一塁上の佐々木さん(左)=7月、秋田市のこまちスタジアム
県高校野球大会の明桜戦で、無安打無得点試合を阻止する左前打を放った一塁上の佐々木さん(左)=7月、秋田市のこまちスタジアム

 7月の2020秋田県高校野球大会を制した明桜と初戦で緊迫した戦いを演じた金足農に、特別な思いを胸にプレーした選手がいる。2番・三塁で出場した3年の佐々木聖友さん(18)=大仙市南外出身。7年前、同校の投手だったが急性白血病で亡くなった兄大地さん=当時(16)=の遺志を引き継ぎ、同じユニホームを着て最後まで全力で白球を追い掛けた。

 新型コロナウイルスの影響で最大の目標だった甲子園大会は中止になってしまったが、「秋田で1番を取る」と臨んだ県大会。亡くなってからずっとバッグの中に忍ばせてきた大地さんの写真を、明桜戦ではベンチに置いた。最後の大会をより近くで一緒に戦ってほしかったからだ。

 チームは明桜の先発橘高康太投手(3年)の力強い投球の前に八回まで無安打。九回も1死となり、聖友さんに打席が回ってきた。バッターボックスに向かう前、写真に手を当てた。「力を貸してほしい」。心の中で語り掛けた。5球目。内角寄りの直球を振り抜いた。打球は左前に抜け、無安打無得点試合を阻止した。

 後続が倒れ、0―3で涙をのんだ。

 6歳離れた聖友さんは、大地さんの影響で南外小3年で野球を始めた。闘病中に病床でたわいない話で笑い合ったり、一時帰宅の際には野球を教えてもらったりし、心から慕っていた。小学生ながらに「兄さんのために甲子園に行く」と心に決めた。

 野球をしている時、よく大地さんを思い出す。「兄さんなら、ここはどんなプレーをするだろう」「もっと練習を頑張っていたかな」。この先も、心の中の兄と共に野球を続けるつもりだ。

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